2013/09/06

抗がん剤・放射線治療の後にも妊娠の希望が持てる卵巣凍結 -がん患者への移植・回復の成功は国内初-

国内で初めて凍結保存からの卵巣機能回復に成功

抗がん剤治療で機能が失われる前に卵巣を摘出して凍結保存し、治療後に体内に戻して機能を一定程度回復させることに順天堂大学の菊地盤先任准教授らの研究チームが成功した。名古屋市で開催される日本産科婦人科内視鏡学会で6日に発表する。

若いうちに卵巣機能が低下する早発閉経の患者への移植例はあるが、がん患者への治療後の移植と機能回復の報告は国内初という。

移植を受けたのは悪性リンパ腫の20代の未婚女性。2010年に左側の卵巣を摘出し、1センチ角の組織片10枚を凍結保存した。

女性はその後、抗がん剤治療や骨髄移植により回復したが、右側の卵巣は機能が低下し、エストロゲンという女性ホルモンを作れない状態が1年続いていた。2012年7月に保存していた卵巣の組織片2枚を解凍し、右側の卵巣に移植した。

半年後、卵子を包む袋のような「卵胞」が発育したことが超音波で確認でき、卵胞がつくるエストロゲンの血中濃度も上がったという。

がん治療による不妊について

私たち夫婦が国立がん研究センター東病院の医師から説明を受けたときは、個人差はあるものの精子は治療終了後1~3年で復活するということでした。しかし、国立がん研究センター運営の「がん情報サービス(http://ganjoho.jp/)」によると、

抗がん剤や放射線は細胞分裂が活発な組織に作用するため、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも大きな影響を与えます。特に、精子や卵子は非常にデリケートな細胞であるために、治療が終了してももとの(治療前の)状態に回復できない可能性があります。その場合、男性、女性にかかわらず不妊になります。不妊を避けるためには、治療前に精子や卵子を凍結保存しておく方法があります。しかし、治療開始を急ぐことが望ましい場合には困難な場合もあります。

とのことです。

私たちの場合、突飛な理由で精子凍結には至りませんでしたが、今後、抗がん剤や放射線による治療が予定されていて、将来の妊娠を希望する女性にとっては、菊地盤先任准教授らの研究チームによる移植成功は嬉しいニュースですよね。私がその立場だったら、真剣に考えると思います。