1.血小板減少とは
抗がん剤の影響で骨髄機能が障害されて、出血を止める作用がある血小板が減少することがあります。
2.血小板減少の原因
血液は、骨のなかにある骨髄と呼ばれるところでつくられていますが、この骨髄が抗がん剤の影響を受けると、血液をつくる機能が低下(骨髄抑制)します。そうなると血小板がつくられず、通常20~35万/μl(1μlあたり20~35万個)ある血小板が減少してしまいます。
3.血小板減少の時期
一般的に7~10日目で減少しはじめ、14日間前後の減少期間となりますが、使用する抗がん剤によって減少する時期、期間には差があります。
4.血小板減少による影響
血小板には、血管の外に出た血液を凝固させる働き(止血作用があります)があります。この血小板が減少すると出血が起きやすく、また出血が止まりにくくなります。
5.血小板減少時の症状
- 内出血(皮下出血)
- 口のなかの出血(歯磨きによる)
- 鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
- 黒い便や血便、血尿
- 皮膚の点状出血、斑状出血
6.血小板減少時の対処法
出血時の止血の方法
抗がん剤による出血は簡単に止まらないこともあるので、まず担当医に相談しましょう。止血の方法(例えば鼻出血、歯肉出血、外傷など)は以下のとおりです。
- 心身を安静にします。
身体を動かすことにより、全身への血流が増加し出血を助長してしまいます。なるべく静かに横になり、心身の安静に努めましょう。 - 出血部位を圧迫して止血します。
出血している部位をタオルやガーゼで圧迫し止血します。 - 採血、点滴の針を抜いた後は、5分以上圧迫して止血する。
- 鼻血が出たときは、小鼻を指で圧迫し、氷で冷やす。
- 冷罨法で止血します。
冷却まくらや氷水を入れたビニール袋で、その部位を冷やすことにより、血管を収縮させ止血させます。 - 出血部位は清潔に保ちましょう。
- 出血したら速やかに止血しましょう。
- 出血が止まらないときは担当医に連絡してください。
7.血小板が低下しているときの注意点
日常生活上の注意
- 体をぶつけたり、転倒や外傷、打撲しないよう注意しましょう。
- 皮膚を強くかいたり、こすったりしないようにしましょう。
- きり傷をつくらないよう注意しましょう。
・ひげそりは電気カミソリで行うとよいでしょう。
・庭いじり、ペットの入浴には手袋を使うとよいでしょう。 - 爪は短めに切り、皮膚に傷をつくらないようにしましょう。
- 歯磨きはやわらかい歯ブラシを使用し、歯ぐきを傷つけないようにしましょう。
- 衣服やベルト、下着を着用する場合、きつく身体を締め付けないようにしましょう。
- 排便時にはなるべく力まないようにしましょう。日ごろより消化のよい食事を心がけ、便通をととのえ硬い便にならないようにしましょう。
- アルコールは避けましょう。アルコールには血液を固まりにくくする作用があります。
- 鎮痛剤、解熱剤などには血小板の凝集機能を抑制する作用のあるものもあります。薬の服用については、担当医または薬剤師に相談してください。
独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載