大切な人ががんと診断されたとき、"不治の病ではないから大丈夫"と安心できる人がいるでしょうか?
パートナーや夫婦ががん患者の場合、回復を望むばかりで他のことを考える余裕がないかもしれません。しかし、将来的に子供を望んでいるとしたら、生殖機能について知っておかなければならないことがあります。
独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターによる、
男性の場合の抗がん剤による性機能障害とは
性欲減退、インポテンツ、射精障害が主な症状です。 精巣は抗がん剤の感受性が高いため、生殖細胞は抗がん剤の量に応じて障害を受けます。精巣の萎縮(いしゅく)、乏精子症、無精子症となり、不妊となります。 抗がん剤治療開始2~3ヵ月以内は、抗がん剤が精液へ移行していることを考慮して、コンドームを用いた避妊が必要です。治療後精子数が回復してくれば、精子の運動性も回復し、受精能も回復するといわれています。治療前に精子を凍結保存しておき、後で解凍して受精させる方法もあります。主治医とよく相談しましょう。 |
ということです。なんとなく聞いたことがあったような気はしていましたが、やはり、そうでしたか。
夫が"血液のがん"だと知ったばかりで、そんな心配をするなんて不謹慎だと言う人もいるでしょう。しかし、私たち夫婦にとっては大切なことです。
"精子がなくなってしまうのか・・・"、心が沈んでしまいました。
私たちは結婚2年目で子供が1人おりますが、「もう1人は欲しい」と意見がまとまっていました。特に夫のほうがその望みを強く持っていたので、自分側の問題で不妊になってしまうのは悲しく感じるのではないかと心配になりました。
夫は自分ががんであることを受け入れている最中。しかし、私たち夫婦にとって大事なことなので、切り出しました。
「抗がん剤で精子がだめになるらしいんだけど、将来のために精子の冷凍保存を考えてみない?」
すると、夫は私の想像を遥かに超えるほどすんなりと受け入れていました。
もともと、私たちは性についてかなりオープンに話をするので、それと似たようなスムーズな会話でした。
ただし、この時点での私は人工授精や体外受精に関する知識が全くなかったので、それほど深く考えずに「念のため」くらいで夫に話し出せたのかもしれません。