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2011/11/16

IVAC療法とは

がん細胞は、正常細胞に比べて分裂増殖が盛んです。抗がん剤は、分裂増殖が盛んな細胞に作用します。正常細胞でも分裂増殖が盛んな細胞は、抗がん剤の影響を受けやすく副作用として現れてきます。
以下に、イホマイド(成分名: イホスファミド)、ベプシド(成分名: エトポシド)とキロサイド(成分名: シタラビン)による治療の副作用をご説明しますが、これらの副作用がすべての方に必ず起こるわけではありません。



起こりやすい副作用について


ベプシドによる副作用

●食欲不振・悪心・嘔吐
程度の差はありますが、ほとんどの方に認められる症状です。1週間ほど続きます。症状と時期に合わせて、あらかじめ吐き気止めのお薬を使い、対応します。

●脱毛
個人差はありますが、投与後2~3週間後あたりから毛が抜け始めます。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。


●白血球減少・赤血球減少・血小板減少
白血球が少なくなると、病原菌に対する体の抵抗力が弱くなり、感染症を起こしやすくなります。赤血球が少なくなると、めまい、ふらつき、疲れやすさなどが起こることがあります。血小板が少なくなると、原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

キロサイドによる副作用

●シタラビン症候群
38℃以上の高熱が出る、だるくなる、筋肉・骨が痛む、皮疹、喉の痛みなどがみられることがあります。シタラビン中止により、ほとんどの症状は軽快します。

●結膜炎・角膜炎
目の充血、目のかゆみ、異物感、目やになどの症状が現れることがあります。結膜炎の予防に0.02%フルメトロン点眼液を使用してください。めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。


●下痢
1日3回以上の排便回数の増加や水様便が出ることがあります。症状が続く場合は、脱水症状を防ぐため水分補給を行ってください。症状に合わせて下痢止めを使うことがあります。


●中枢神経障害
不安定な歩行、昏睡、言語不明瞭、筋力低下などの症状が現れることがあります。投与後3~12日目に現れることが多く、3~7日間継続しますが、その後は元の状態に回復します。


イホマイドによる副作用


●出血性膀胱炎
尿が近い(回数が増える)、尿に赤みが出る、尿が残った感じ、排尿痛といった症状が起きる可能性があります。十分に水分を摂取するよう心がけましょう。また、膀胱炎を予防するお薬としてウロミテキサン注を使用します。


注意が必要な副作用について


まれな副作用ですが、このような症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。

  • 呼吸困難、じんましん、眼や唇の周りが腫れる、冷や汗、ドキドキするなど(アナフィラキシー様症状)
  • 極端に尿の量が減る、顔や手足のむくみ(急性腎不全)
  • 突然、胸が締めつけられる感じがする、胸の痛みが長く続く(心障害)
  • 息をするとひゅーひゅー音がする、痰のからまない咳が出る(間質性肺炎)
  • 高音域の声や音が聞こえにくい、耳鳴りがする(聴力低下・難聴)
  • 激しい腹痛、腹部膨満(消化器症状)



上記の副作用に関する情報は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

2011/11/02

"メソトレキサート大量療法"について

メソトレキサートとは

メソトレキサートとは、アメリカで開発され、病気ごとに投与量が異なり、様々な薬剤と併用されることによって、白血病、絨網性疾患、乳がん、胃がん、悪性リンパ腫、尿路上皮がん等多くのがんに治療効果が認められている薬です。飲み薬でリウマチの治療に用いられることもあります。尿が酸性になると尿細管内で結晶化し、腎不全を発現することがあるので、尿をアルカリ化する薬を投与することがあります。

起こりやすい副作用について

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
直後から現れることがあります。2~3日ほど続きますが、その後に回復に向かいます。

●腎障害
治療開始前及び治療中に補液を投与し、同時に十分な水分を補給することで、腎障害を予防する場合があります。また、利尿剤も投与することがあります。

その他の副作用について


●口内炎

●発疹、紅斑

●下痢

●脱毛

注意が必要な副作用について

まれな副作用ですが、この様な症状が現れた際には医師・薬剤師・看護師へご相談ください。

  • 呼吸困難、じんましん、眼および口の周囲の腫れ、冷汗、頻脈(アナフィラキシー様症状: 頻度不明)
  • 全身倦怠感、食欲不振、疲れやすい、腹部不快感(肝障害: 記載なし)
  • 顔・手足などのむくみ、尿量の減少、尿が赤みを帯びる、体重減少、口の渇き(腎障害: 記載無し)
  • 胸痛、意識障害、呼吸困難、(空)咳、発汗、発熱、ピンク色の痰がでる、尿量の減少、むくみ、頭痛、全身倦怠感(肺障害: 記載無し)
  • 中央に浮腫を伴った発疹、まぶた・眼球結膜に充血、口腔内の痛みを伴った粘膜炎(皮膚障害: 記載無し)
  • 腰や背中の痛み、腰のだるさ、背骨、手首の付け根、股関節付近の骨折(骨粗鬆症: 記載無し)
  • 突然起こる激しい腹痛、背部痛、もたれ、胸やけ、吐き気、嘔吐、食欲不振(消化器症状: 記載無し)
  • 足腰がおぼつかない、思うように話すことができない、手が震える、めまい、けいれん(中枢神経障害: 記載無し)

2011/11/01

リツキサン注での治療について

リツキサンとは

リツキサン(成分名: リツキシマブ)とは、がん化したリンパ球と正常リンパ球の表面だけにある、CD20というタンパク質にくっつくように作られたお薬です。がんを小さくしたり、広がるのを抑えたり、がんによる症状を軽くしたりします。CD20という目印があるものだけにくっつくので、従来の抗がん剤と比べると、正常な細胞への影響は少ないと考えられていますが、点滴時のアレルギー症状や白血球減少(詳しくは「白血球が減少するとどうなるの?」をお読みください。)などの副作用が起こることがあります。


注意が必要な副作用について

まれな副作用ですが、この様な症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。
呼吸困難、じんましん、全身のかゆみを伴った発赤、眼や唇のまわりが腫れる、ふらふらする、冷汗、ドキドキするなど(アナフィラキシー様症状)


点滴時に注意すること

《症状》発熱、悪心、頭痛、かゆみ、ほてり、発疹、血管浮腫などのアレルギー様症状

*この様な症状が出た場合は、症状や経過を見て一旦中止したり、投与速度を遅くしたり、量を減らして投与を再開します。

リツキサン注を投与する30分前に、ポララミン2mg x 1錠、カロナール200mg x 2錠をお飲みいただいています。


その他の副作用について

●白血球減少
抵抗力が弱くなり、風邪のような症状が出やすくなります。うがい・手洗いを心がけましょう!
詳しくは「白血球が減少するとどうなるの?」をお読みください。



上記の内容は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

2011/10/24

CODOX-M療法とは

CODOX-M療法とは

オンコビン(成分名: ビンクリスチン)とアドリアシン(成分名: ドキソルビシン)とエンドキサン(成分名: シクロフォスファミド)とメソトレキセート(成分名: メトトレキサート)という4つの抗がん剤を組み合わせた治療のことを言います。これらのお薬はそれぞれ、がん細胞への作用の仕方や副作用の違いがあるので、これらを組み合わせて使うことで、より効果的にがんを治療することができます。これにより、がんを小さくしたり、広がるのを抑えたり、がんによる症状を軽くしたりします。しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えてしまいます。このために吐き気や脱毛などの副作用が起こることがあります。

起こりやすい副作用について


アドリアシンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●血管痛・静脈炎
お薬が血管を刺激するため、投与中に血管の痛みや腫れが起こることがあります。また、数日後にも発赤、腫脹、熱感などを感じる場合があります。異常を感じたらすぐにお知らせください。適切な処置をします。その際、症状に合わせてステロイドを使用することがあります。


エンドキサンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●出血性膀胱炎
投与後2~3日で出ると言われています。尿が近い(回数が増える)、尿に赤みが出る、尿が残った感じ、排尿痛といった症状が起きる可能性があります。十分に水分を摂取するよう心がけましょう。また、症状に合わせて膀胱炎を軽減するお薬を使用することがあります。


オンコビンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●末梢神経障害
手足のしびれ感、麻痺、関節痛が起こることがあります。

●便秘


注意が必要な副作用について


まれな副作用ですが、このような症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。

  • 熱が出る、息をするとひゅーひゅー音がする、痰のからまない咳が出る、頭痛、体がだるい(間質性肺炎)
  • 息切れ、「鈍い」「締めつけられるような」「圧迫されるような」「焼けるような」胸の痛み(心障害)
  • 激しい腹痛、お腹のはり、嘔吐、排便・排ガスがない(消化器症状)
  • 白目や皮膚が黄色くなる(肝障害)
  • 突然、片側の手足や顔が麻痺する、しびれ、頭痛、話しにくい、視界が狭くなる、字が書きにくい(脳梗塞)
  • 耳が聞こえづらくなる(難聴)




上記の副作用に関する情報は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

2011/09/30

再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療



再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療

一般的に治療抵抗性とは、一度も寛解を得られない状態を指します。再発とは、いったん縮小したリンパ節が再び大きくなってきた状態をいいます。いったん良くなった悪性リンパ腫が再発したときの心痛は、非常に大きいものです。しかしながら再発の場合、一度は寛解を得られたわけですから、最初から化学療法が効かない治療抵抗性とは、その後の治療効果が少し異なります。

再発した悪性リンパ腫に期待できる治療効果は、やはり病理組織学的分類、すなわち病気のタイプによって大きく異なります。したがって、医師とともに目標をどこに設定するかを考える必要があります。

1)ホジキンリンパ腫の再発

初回治療の内容や、治療を終了してから再発までの期間などによって、治療選択と予後が異なってきます。初回治療が放射線療法であった場合には、再発後の化学療法の治療効果が期待できます。初回寛解持続期間が1年以上あった場合には、化学療法を再開することにより、長期生存が一定の割合で期待できます。また、自家末梢血幹細胞移植を用いた大量化学療法が有効であることも知られています。

2)非ホジキンリンパ腫の再発


(1)低悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、病勢をコントロールすることが主な目標になります。根治をねらって自家末梢血幹細胞移植療法や同種造血幹細胞移植療法が行われることがありますが、適応や有効性についてまだ一定の見解が得られていません。

(2)中悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、再度寛解を得ることが目標となります。救済療法としての化学療法はいろいろなものが開発されていますが、どれが最も優れているかについてはまだよくわかっていません。再発後の治療により腫瘍が縮小した場合は、自家末梢血幹細胞移植療法が有益であるとする報告があります。

(3)高悪性度群リンパ腫

根治を目指して、同種造血幹細胞移植療法を行うことがあります。



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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の標準治療



悪性リンパ腫の標準治療


1)治療の選択肢

悪性リンパ腫の治療法には次のようなものがあります。
  • 放射線療法
  • 化学療法(抗がん剤)
  • 生物学的製剤:抗CD20抗体
  • 経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
  • 造血幹細胞移植:自家移植、同種移植

(1)放射線療法
放射線療法は、高エネルギーのX線を病気のある部位に照射して、腫瘍に対する殺細胞効果を期待する治療です。照射した部位に対してのみ効果が期待できます。
(2)化学療法
抗がん剤を経口(内服薬)、あるいは静脈内投与することによって、腫瘍の殺細胞効果・増殖抑制効果を期待する治療です。腫瘍があることがわかっている場所に効果があるばかりでなく、診察や画像診断ではわからない微小な病変部位に対しても効果が期待できます。
(3)生物学的製剤
最近よく使われる薬がリツキサンです。CD20という、成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果があります。抗体に放射性同位元素を結合したものも開発され、海外では再発・難治性の低悪性度群リンパ腫に効果が認められています。日本でも承認申請が出されています。
(4)経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
ゆっくり進行型のリンパ腫の場合、全く無症状で何年も経過することがあります。化学療法を行うメリットがないと判断される場合には定期的に診察を続け、何か症状が出たときにはじめて治療を行うという選択です。物足りなく感じる患者さんもいるかもしれませんが、医師に対するヒポクラテスの格言、“First, do not harm!(まず第一に害を与えないこと)”の実践ともいえます。
(5)造血幹細胞移植
標準的な抗がん剤治療や放射線治療を行っても再発する可能性が高いと判断された場合は、大量の抗がん剤投与や放射線照射を行います。その際、治療が強力であるために血液をつくる能力も破壊されてしまうので、血液を正常な状態に回復させるために、患者さん自身や患者さん以外の提供者(ドナー)からの造血幹細胞(血液のもととなる細胞)を移植します。

治癒を目指した治療を行う場合、まず完全寛解という状態を目指します。完全寛解とは、治療前に腫(は)れていたリンパ節や、CTなどで指摘されていた病変が小さくなって消失するか、あるいは正常の大きさになり、発病前と同じ状態になることを指します。完全寛解が得られた後に予定どおりの治療を行って、治療終了後、経過をみていても再発しない場合を治癒といいます。およそ5年間の観察期間が必要であると考えられています。

以下に大まかな治療指針について概説しますが、冒頭でも述べたように、病気のタイプと進行度、予後不良因子の有無、そして初発か再発かなどによって最も適切な治療が選択されます。十分に担当医師と話し合う必要があります。それぞれの病気に対する治療については他項で詳しく記していますが、ここではその概略を示します。

2)ホジキンリンパ腫の治療方針

ホジキンリンパ腫には大きく分けて下記の2つのタイプがあり、(1)のほうがゆっくり進行型で、臨床病期が早い段階で病気が発見されることが知られています。したがって、同じ臨床病期が早い患者さんでも、(1)か(2)によって放射線療法と化学療法のどちらが主体になるか若干異なります。

(1)結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫(Nodular Lymphocyte Predominant Hodgkin Lymphoma)


(2)古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin Lymphoma)

(1)限局期(臨床病期IあるいはII)の場合 病理組織学的分類が(1)で、全身症状(B症状:発熱、体重減少、夜間寝汗)がなければ放射線療法が基本となります。B症状を伴うか、あるいは病理組織学的分類が(2)の場合には、化学療法と放射線療法を組み合わせる方針を採ることが原則となります。
(2)進行期(臨床病期IIIあるいはIV)の場合 病組織学的分類にかかわらず、化学療法が主となります。発症時に非常に大きな腫瘤(しゅりゅう)があった場合や、化学療法後に腫瘤が残存した場合には、放射線療法が追加されることがあります。ホジキンリンパ腫に対する代表的な化学療法は、ABVD療法です。

3)非ホジキンリンパ腫の治療方針


(1)低悪性度群リンパ腫

濾胞性リンパ腫やMALT(マルト)リンパ腫の臨床病期IあるいはIIの限局期の場合には、原則として放射線療法が行われます。病期IIといっても発症場所が複数あり、かなり距離が離れている場合には進行期と同じ対応となることがあります。臨床病期IIIおよびIVの場合には、経過観察、化学療法、抗CD20モノクローナル抗体(リツキサンなど)、圧迫症状を呈する部位への放射線療法等の選択肢があります。また最近は、濾胞性リンパ腫の予後因子であるFLIPIを用いて治療方針を決めることも多くなってきています。

研究的治療として造血幹細胞移植が行われることがあります。研究的治療というとマイナスのイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、何が有望な治療法であるかを確かめるためには非常に重要な方法です。

これまで長年、多くの患者さんたちに行われて治療成績のエビデンス(証拠)が出ているものを、標準治療ということができます。これに対して研究的治療の多くは、標準治療で良くならない患者さんに対する、より有効な治療として計画されたものです。新規の治療であるため、現時点ではエビデンスがないということから「研究的治療」といわれます。

(2)中悪性度群リンパ腫

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫が代表的な疾患です。臨床病期IおよびIIのときには化学療法単独か、化学療法と放射線療法の併用が行われます。臨床病期IIIおよびIVでは化学療法が主体となります。代表的な化学療法はCHOP(チョップ)療法です。最近では、CHOP療法などの化学療法にリツキサンが併用されることが多くなっています。国際予後因子(IPI)で高中危険群以上の予後不良であることが推測されるときには、初回寛解中に自家末梢血幹細胞移植を行うことで予後が改善されることを示唆する報告がありますが、まだ結論は出ていません。

(3)高悪性度群リンパ腫

リンパ芽球型リンパ腫は、急性リンパ性白血病とほぼ同じ化学療法が行われます。中枢神経浸潤を来す可能性が高いので、化学療法剤の髄腔(ずいくう)内投与が予防的に行われます。バーキットリンパ腫には有効な化学療法が開発されています。予後不良であることが予測されるときには、造血幹細胞移植を選択することもあります。


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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の治療法の選択


更新日:2011年02月21日    掲載日:2006年10月19日

治療法の選択

悪性リンパ腫の治療法を選択するうえで、病理組織、進行のスピードによる分類のほかに、臨床病期、年齢、全身状態、リンパ節以外の病変、血清LDHの値等の血液検査の値が重要とされています。

1)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫における治療選択

非ホジキンリンパ腫の中で最も多いタイプとされるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫では、国際予後因子(International Prognostic Index:IPI)を用いることで、標準治療による治りやすさを予測することができます。

国際予後因子に含まれるもの

  • 年齢
  • 病期
  • 日常の活動性 (Performance Status:PS)
  • リンパ節以外の病変の数
  • LDH

(1)年齢

患者さんの年齢が60歳以下であるか、それより上であるかによって予後が変わってきます。60歳を超えた場合に、リスクファクター(危険因子)1点を加えます。

(2)臨床病期

病気の進行状態が進んでいるほど予後に悪い影響を与えるのは、他のがんと同じです。臨床病期がIII以上でリスクファクター1点を加えます。
図2 臨床病期

(3)日常の活動性(Performance Status:PS)

リンパ腫と診断されたとき、日常活動を行う能力をどれくらい持っているかを表す指標です。PS2以上でリスクファクター1点を加えます。
0:発病前と同じ状態
1:軽度の症状がある。肉体労働に制限がある。
2:日中の50%以上は起きている。軽労働に制限がある。
3:日中の50%以上は床に就いている。身の回りのことをするのに制限がある。
4:終日、床に就いている。身の回りのこともできない。常に介助が必要。


(4)リンパ節以外の病変

病気がリンパ節およびその関連臓器に限られているか、あるいはそれを越えて広がっているかによって、予後が異なります。リンパ節以外にある病気のかたまりを「節外病変」といいます。例えば、もともとリンパ節が少ない骨髄、消化管、皮膚、甲状腺、肝臓、中枢神経、肺、泌尿(ひにょう)生殖器、骨等にリンパ腫が発生した場合は節外病変といいますが、脾臓や扁桃を含む咽頭(いんとう:のど)の組織 (ワルダイエル環(かん)といいます)はリンパ節と同等と見なされますので、節外病変とはいいません。節外病変が2ヵ所以上ある場合には、リスクファクター1点を加えます。

(5)LDH(乳酸脱水素酵素):正常か異常高値か?

血清LDHの値は、病気の勢いや腫瘍の大きさと相関すると考えられています。LDHが上昇しているときには、リスクファクター1点を加えます。

以上の項目をまとめますと、表2のようになります。表2にあてはまる項目の数で、表2-1によって判定します。
表2 国際予後因子(全年齢)(International Prognostic Index:IPI)表2-1
・年齢≧61歳
・節外病変≧2ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・日常活動性(PS) ≧2
The International Non-Hodgkin's Lymphoma Prognostic
Factors Project. N Engl J Med 329:987-994, 1993
低危険群:0~1
低中危険群:2
高中危険群:3
高危険群:4~5

標準治療を行った場合の生存曲線は図3のようになり、高危険群の方では、治療をしても5年生存率が25%弱です。現在は坑CD20モノクローナル抗体などの新しい薬剤の併用により、全体的に生存率は向上していると考えられます。それでも、標準治療だけでは治癒を期待することが難しいとなると、新しい分子標的薬剤の導入や自家造血幹細胞移植を治療に組み込むことで、生存率の向上を目指すことができます。
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性
(aggressive)非ホジキンリンパ腫の予後
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性

出典:N Engl J Med 329: 987-994, 1993(著者ら改変)

また濾胞性リンパ腫に対しては、同じように下記の5項目を点数化した濾胞性リンパ腫国際予後因子(Follicular Lymphoma International Prognostic Index:FLIPI)を用いるようになってきました。IPIとの違いは、PSの代わりにヘモグロビン値を用いる点と、節外病変の代わりにリンパ節の病変の数を用いる点です。
表3 濾胞性リンパ腫国際予後因子 (FLIPI)表3-1
・年齢≧61歳
・リンパ節病変≧5ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・ヘモグロビン<12g/dl
Solal-Celigny P, et al. Blood 104: 1258-1265, 2004
低危険群:0~1
中危険群:2
高危険群:3~



関連情報
悪性リンパ腫の一般的な知識    悪性リンパ腫の標準治療    再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療



独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターに掲載されている情報を転載しています。