2011/09/30

再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療



再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療

一般的に治療抵抗性とは、一度も寛解を得られない状態を指します。再発とは、いったん縮小したリンパ節が再び大きくなってきた状態をいいます。いったん良くなった悪性リンパ腫が再発したときの心痛は、非常に大きいものです。しかしながら再発の場合、一度は寛解を得られたわけですから、最初から化学療法が効かない治療抵抗性とは、その後の治療効果が少し異なります。

再発した悪性リンパ腫に期待できる治療効果は、やはり病理組織学的分類、すなわち病気のタイプによって大きく異なります。したがって、医師とともに目標をどこに設定するかを考える必要があります。

1)ホジキンリンパ腫の再発

初回治療の内容や、治療を終了してから再発までの期間などによって、治療選択と予後が異なってきます。初回治療が放射線療法であった場合には、再発後の化学療法の治療効果が期待できます。初回寛解持続期間が1年以上あった場合には、化学療法を再開することにより、長期生存が一定の割合で期待できます。また、自家末梢血幹細胞移植を用いた大量化学療法が有効であることも知られています。

2)非ホジキンリンパ腫の再発


(1)低悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、病勢をコントロールすることが主な目標になります。根治をねらって自家末梢血幹細胞移植療法や同種造血幹細胞移植療法が行われることがありますが、適応や有効性についてまだ一定の見解が得られていません。

(2)中悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、再度寛解を得ることが目標となります。救済療法としての化学療法はいろいろなものが開発されていますが、どれが最も優れているかについてはまだよくわかっていません。再発後の治療により腫瘍が縮小した場合は、自家末梢血幹細胞移植療法が有益であるとする報告があります。

(3)高悪性度群リンパ腫

根治を目指して、同種造血幹細胞移植療法を行うことがあります。



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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の標準治療



悪性リンパ腫の標準治療


1)治療の選択肢

悪性リンパ腫の治療法には次のようなものがあります。
  • 放射線療法
  • 化学療法(抗がん剤)
  • 生物学的製剤:抗CD20抗体
  • 経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
  • 造血幹細胞移植:自家移植、同種移植

(1)放射線療法
放射線療法は、高エネルギーのX線を病気のある部位に照射して、腫瘍に対する殺細胞効果を期待する治療です。照射した部位に対してのみ効果が期待できます。
(2)化学療法
抗がん剤を経口(内服薬)、あるいは静脈内投与することによって、腫瘍の殺細胞効果・増殖抑制効果を期待する治療です。腫瘍があることがわかっている場所に効果があるばかりでなく、診察や画像診断ではわからない微小な病変部位に対しても効果が期待できます。
(3)生物学的製剤
最近よく使われる薬がリツキサンです。CD20という、成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果があります。抗体に放射性同位元素を結合したものも開発され、海外では再発・難治性の低悪性度群リンパ腫に効果が認められています。日本でも承認申請が出されています。
(4)経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
ゆっくり進行型のリンパ腫の場合、全く無症状で何年も経過することがあります。化学療法を行うメリットがないと判断される場合には定期的に診察を続け、何か症状が出たときにはじめて治療を行うという選択です。物足りなく感じる患者さんもいるかもしれませんが、医師に対するヒポクラテスの格言、“First, do not harm!(まず第一に害を与えないこと)”の実践ともいえます。
(5)造血幹細胞移植
標準的な抗がん剤治療や放射線治療を行っても再発する可能性が高いと判断された場合は、大量の抗がん剤投与や放射線照射を行います。その際、治療が強力であるために血液をつくる能力も破壊されてしまうので、血液を正常な状態に回復させるために、患者さん自身や患者さん以外の提供者(ドナー)からの造血幹細胞(血液のもととなる細胞)を移植します。

治癒を目指した治療を行う場合、まず完全寛解という状態を目指します。完全寛解とは、治療前に腫(は)れていたリンパ節や、CTなどで指摘されていた病変が小さくなって消失するか、あるいは正常の大きさになり、発病前と同じ状態になることを指します。完全寛解が得られた後に予定どおりの治療を行って、治療終了後、経過をみていても再発しない場合を治癒といいます。およそ5年間の観察期間が必要であると考えられています。

以下に大まかな治療指針について概説しますが、冒頭でも述べたように、病気のタイプと進行度、予後不良因子の有無、そして初発か再発かなどによって最も適切な治療が選択されます。十分に担当医師と話し合う必要があります。それぞれの病気に対する治療については他項で詳しく記していますが、ここではその概略を示します。

2)ホジキンリンパ腫の治療方針

ホジキンリンパ腫には大きく分けて下記の2つのタイプがあり、(1)のほうがゆっくり進行型で、臨床病期が早い段階で病気が発見されることが知られています。したがって、同じ臨床病期が早い患者さんでも、(1)か(2)によって放射線療法と化学療法のどちらが主体になるか若干異なります。

(1)結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫(Nodular Lymphocyte Predominant Hodgkin Lymphoma)


(2)古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin Lymphoma)

(1)限局期(臨床病期IあるいはII)の場合 病理組織学的分類が(1)で、全身症状(B症状:発熱、体重減少、夜間寝汗)がなければ放射線療法が基本となります。B症状を伴うか、あるいは病理組織学的分類が(2)の場合には、化学療法と放射線療法を組み合わせる方針を採ることが原則となります。
(2)進行期(臨床病期IIIあるいはIV)の場合 病組織学的分類にかかわらず、化学療法が主となります。発症時に非常に大きな腫瘤(しゅりゅう)があった場合や、化学療法後に腫瘤が残存した場合には、放射線療法が追加されることがあります。ホジキンリンパ腫に対する代表的な化学療法は、ABVD療法です。

3)非ホジキンリンパ腫の治療方針


(1)低悪性度群リンパ腫

濾胞性リンパ腫やMALT(マルト)リンパ腫の臨床病期IあるいはIIの限局期の場合には、原則として放射線療法が行われます。病期IIといっても発症場所が複数あり、かなり距離が離れている場合には進行期と同じ対応となることがあります。臨床病期IIIおよびIVの場合には、経過観察、化学療法、抗CD20モノクローナル抗体(リツキサンなど)、圧迫症状を呈する部位への放射線療法等の選択肢があります。また最近は、濾胞性リンパ腫の予後因子であるFLIPIを用いて治療方針を決めることも多くなってきています。

研究的治療として造血幹細胞移植が行われることがあります。研究的治療というとマイナスのイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、何が有望な治療法であるかを確かめるためには非常に重要な方法です。

これまで長年、多くの患者さんたちに行われて治療成績のエビデンス(証拠)が出ているものを、標準治療ということができます。これに対して研究的治療の多くは、標準治療で良くならない患者さんに対する、より有効な治療として計画されたものです。新規の治療であるため、現時点ではエビデンスがないということから「研究的治療」といわれます。

(2)中悪性度群リンパ腫

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫が代表的な疾患です。臨床病期IおよびIIのときには化学療法単独か、化学療法と放射線療法の併用が行われます。臨床病期IIIおよびIVでは化学療法が主体となります。代表的な化学療法はCHOP(チョップ)療法です。最近では、CHOP療法などの化学療法にリツキサンが併用されることが多くなっています。国際予後因子(IPI)で高中危険群以上の予後不良であることが推測されるときには、初回寛解中に自家末梢血幹細胞移植を行うことで予後が改善されることを示唆する報告がありますが、まだ結論は出ていません。

(3)高悪性度群リンパ腫

リンパ芽球型リンパ腫は、急性リンパ性白血病とほぼ同じ化学療法が行われます。中枢神経浸潤を来す可能性が高いので、化学療法剤の髄腔(ずいくう)内投与が予防的に行われます。バーキットリンパ腫には有効な化学療法が開発されています。予後不良であることが予測されるときには、造血幹細胞移植を選択することもあります。


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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の治療法の選択


更新日:2011年02月21日    掲載日:2006年10月19日

治療法の選択

悪性リンパ腫の治療法を選択するうえで、病理組織、進行のスピードによる分類のほかに、臨床病期、年齢、全身状態、リンパ節以外の病変、血清LDHの値等の血液検査の値が重要とされています。

1)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫における治療選択

非ホジキンリンパ腫の中で最も多いタイプとされるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫では、国際予後因子(International Prognostic Index:IPI)を用いることで、標準治療による治りやすさを予測することができます。

国際予後因子に含まれるもの

  • 年齢
  • 病期
  • 日常の活動性 (Performance Status:PS)
  • リンパ節以外の病変の数
  • LDH

(1)年齢

患者さんの年齢が60歳以下であるか、それより上であるかによって予後が変わってきます。60歳を超えた場合に、リスクファクター(危険因子)1点を加えます。

(2)臨床病期

病気の進行状態が進んでいるほど予後に悪い影響を与えるのは、他のがんと同じです。臨床病期がIII以上でリスクファクター1点を加えます。
図2 臨床病期

(3)日常の活動性(Performance Status:PS)

リンパ腫と診断されたとき、日常活動を行う能力をどれくらい持っているかを表す指標です。PS2以上でリスクファクター1点を加えます。
0:発病前と同じ状態
1:軽度の症状がある。肉体労働に制限がある。
2:日中の50%以上は起きている。軽労働に制限がある。
3:日中の50%以上は床に就いている。身の回りのことをするのに制限がある。
4:終日、床に就いている。身の回りのこともできない。常に介助が必要。


(4)リンパ節以外の病変

病気がリンパ節およびその関連臓器に限られているか、あるいはそれを越えて広がっているかによって、予後が異なります。リンパ節以外にある病気のかたまりを「節外病変」といいます。例えば、もともとリンパ節が少ない骨髄、消化管、皮膚、甲状腺、肝臓、中枢神経、肺、泌尿(ひにょう)生殖器、骨等にリンパ腫が発生した場合は節外病変といいますが、脾臓や扁桃を含む咽頭(いんとう:のど)の組織 (ワルダイエル環(かん)といいます)はリンパ節と同等と見なされますので、節外病変とはいいません。節外病変が2ヵ所以上ある場合には、リスクファクター1点を加えます。

(5)LDH(乳酸脱水素酵素):正常か異常高値か?

血清LDHの値は、病気の勢いや腫瘍の大きさと相関すると考えられています。LDHが上昇しているときには、リスクファクター1点を加えます。

以上の項目をまとめますと、表2のようになります。表2にあてはまる項目の数で、表2-1によって判定します。
表2 国際予後因子(全年齢)(International Prognostic Index:IPI)表2-1
・年齢≧61歳
・節外病変≧2ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・日常活動性(PS) ≧2
The International Non-Hodgkin's Lymphoma Prognostic
Factors Project. N Engl J Med 329:987-994, 1993
低危険群:0~1
低中危険群:2
高中危険群:3
高危険群:4~5

標準治療を行った場合の生存曲線は図3のようになり、高危険群の方では、治療をしても5年生存率が25%弱です。現在は坑CD20モノクローナル抗体などの新しい薬剤の併用により、全体的に生存率は向上していると考えられます。それでも、標準治療だけでは治癒を期待することが難しいとなると、新しい分子標的薬剤の導入や自家造血幹細胞移植を治療に組み込むことで、生存率の向上を目指すことができます。
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性
(aggressive)非ホジキンリンパ腫の予後
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性

出典:N Engl J Med 329: 987-994, 1993(著者ら改変)

また濾胞性リンパ腫に対しては、同じように下記の5項目を点数化した濾胞性リンパ腫国際予後因子(Follicular Lymphoma International Prognostic Index:FLIPI)を用いるようになってきました。IPIとの違いは、PSの代わりにヘモグロビン値を用いる点と、節外病変の代わりにリンパ節の病変の数を用いる点です。
表3 濾胞性リンパ腫国際予後因子 (FLIPI)表3-1
・年齢≧61歳
・リンパ節病変≧5ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・ヘモグロビン<12g/dl
Solal-Celigny P, et al. Blood 104: 1258-1265, 2004
低危険群:0~1
中危険群:2
高危険群:3~



関連情報
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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターに掲載されている情報を転載しています。

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫についての一般的な知識

1)悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、リンパ系の組織から発生する腫瘍(いわゆる“がん”)です。リンパ系組織とは、ヒトの免疫システムを構成するもので、リンパ節、胸腺(きょうせん)、脾臓(ひぞう)、扁桃腺(へんとうせん)等の組織・臓器と、リンパ節をつなぐリンパ管、そしてその中を流れるリンパ液からなります。リンパ系組織を構成する主な細胞は、リンパ球と呼ばれる白血球です。リンパ液の中には液体成分とリンパ球が流れていて、やがて血液と合流します。リンパ系組織は全身に分布しているため、悪性リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫は全身で発生する可能性があります。

2)悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫という病名は、さまざまなリンパ系組織のがんを大きくまとめて呼ぶ名前で、その中に含まれる個々の疾患の臨床経過や治療反応性、あるいは予後は大きく異なります。ですから、自分にとって最適な治療を選択するためには、「悪性リンパ腫の中のどのような病型(タイプ)ですか?」と、まずは医師に質問することが重要です。

(1)病理組織学的分類

悪性リンパ腫には、大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つがあります。ホジキンリンパ腫は日本では少なく、約10%です。非ホジキンリンパ腫はリンパ腫の顔つき、すなわち顕微鏡でわかる形態学的特徴(病理学的分類といいます)、細胞系質的特徴(“B細胞性、T細胞性、NK細胞性”)、そして染色体・遺伝子情報などをもとに分類されます。それが腫瘍細胞の悪性度とその後の臨床経過、予後を推定し、治療法を選択するために大変重要になります。
図1 悪性リンパ腫の種類:
がん細胞の起源により非ホジキンリンパ腫は複数に分類されます。

(2)進行のスピードによる分類

非ホジキンリンパ腫は、発症してからの病気の進行速度によって分けることができます。進行のスピードによる分類は、「診断された病気を、治療しないで放置した場合に推測される予後」と言い換えることもできます。一方、上記の「病理学的分類」は、それぞれのがんの顔の特徴をつかまえているといえるでしょう。それぞれの患者さんに適した治療法を決めるうえで、両者を組み合わせることが重要であると考えられています。進行のスピードが速いタイプを高悪性度、ゆっくりなものを低悪性度と分類しますが、強力な化学療法や造血幹細胞移植などの進歩した現在においては、高悪性度とされるリンパ芽球性リンパ腫やバーキットリンパ腫も根治が期待できます。
表1 臨床経過からみた非ホジキンリンパ腫の分類
進行スピードによる分類該当する非ホジキンリンパ腫の種類
低悪性度(年単位で進行)濾胞(ろほう)性リンパ腫
MALTリンパ腫など
中悪性度(月単位で進行)びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫など
高悪性度(週単位で進行)リンパ芽球性リンパ腫
バーキットリンパ腫など

3)悪性リンパ腫の症状

首、腋(わき)の下、足のつけ根などのリンパ節の多い部位に、痛みを伴わないしこりが触れるなどの症状がよくみられます。全身的な症状として、発熱、体重の減少、盗汗(顕著な寝汗)を伴うことがあり、これらの3つの症状を「B症状」といい、特に重要視されています。体のかゆみを伴うこともあります。その他、皮膚の発疹(ほっしん)、しこり、いろいろな場所の痛みで気づくこともあります。

4)悪性リンパ腫の診断

悪性リンパ腫の診断に用いられる検査には、以下のようなものがあります。

(1)リンパ節生検

大きくなっているリンパ節のすべて、あるいは一部を、いろいろな検査に用いるために局所麻酔を行って採取します。採取された組織は、病理医が顕微鏡で腫瘍の顔つきを調べて、病理学的分類を行うのに用いられます。また組織の一部は、診断に重要な染色体検査や遺伝子検査にも使われることがあります。遺伝子検査といっても、親から子へ遺伝する病気の有無について調べるものではなく、がん細胞が持っている特有の遺伝子の異常を調べるものです。診断ばかりでなく、治療の手がかりとしても非常に重要です。これらの検査によって、リンパ腫の病型(タイプ)が決定されます。

(2)病気の広がりをみる検査

悪性リンパ腫に対する最適な治療を選択するために、病気が体のどこに、どれくらい広がっているかを知ることが大変重要です。病気の状態が進んでいるかどうかは、予後に大きく影響します。このため、以下のような検査が重要になります。
  • 胸部X線検査
  • コンピュータ断層撮影(CT)
  • 核磁気共鳴検査(MRI)
  • ガリウム(Ga)シンチグラフィー
  • ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)
  • 骨髄検査:穿刺(せんし)吸引検査、生検
  • 腰椎穿刺(ようついせんし):脊柱管(せきちゅうかん)の中にある液体(脳脊髄液)を採取する検査(中枢神経浸潤(しんじゅん)が疑われるとき、あるいは中枢神経への広がりが起きやすいタイプの病気のときに行われることがあります。)
  • 消化管検査:胃内視鏡、大腸内視鏡等

(3)全身状態と、原因となるウイルスをみる検査

悪性リンパ腫の中には、ウイルス感染を契機に発生するものがあります。このため、さまざまなウイルスの感染状況を調べることも重要になります。
  • 末梢血、肝機能、腎機能、血糖
  • ウイルス抗体価:B型肝炎、C型肝炎、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV-I)、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)

(4)病気の広がりや勢い、治療効果を反映する検査

以下の血液検査をチェックすることが重要です。
  • 乳酸脱水素酵素(LDH)
  • C反応性蛋白(CRP)
  • 可溶性インターロイキン‐2(IL-2)受容体


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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日:2011年02月21日    掲載日:2006年10月19日

2011/09/24

冷凍保存した精子は夫の生存中に限り、使用できる

がんは現代医学では不治の病ではないと言われても、その人の年齢や体力、精神力、がんのステージや進行度などにより、どうなるかはわかりません。また、外科的手術などにより体内からがん細胞がなくなったとしても、元の生活にもどれる保証もありません。

大切な人ががんと診断されたとき、"不治の病ではないから大丈夫"と安心できる人がいるでしょうか?

パートナーや夫婦ががん患者の場合、回復を望むばかりで他のことを考える余裕がないかもしれません。しかし、将来的に子供を望んでいるとしたら、知っておかなければならないことがあります。

それは、生殖機能についてです。

抗がん剤による性機能障害のため、精子を冷凍しておこうと考える方はたくさんいると思います。近い将来、パートナーが完全完解し、子供も持てると期待して。そこで、精子の凍結に関する重要なガイドラインをご紹介します。


精子の凍結保存に関する見解

ヒト精子の凍結保存(以下本法)は人工授精ならびに体外受精などの不妊治療に広く臨床応用されている。

一方、悪性腫瘍に対しては、外科的療法、化学療法、放射線療法などの治療法が進歩し、その成績が向上してきたものの、これらの医学的介入により造精機能の低下が起こりうることも明らかになりつつある。そのため、かかる治療を受ける者が将来の挙児の可能性を確保する方法として、受療者本人の意思に基づき、治療開始前に精子を凍結し保存することは、これを実施可能とする。

なお、本法の実施にあたっては以下の点に留意して行う。


  1. 精子の凍結保存を希望する者が成人の場合には、本人の同意に基づいて実施する。精子の凍結保存を希望する者が未成年者の場合には、本人および親権者の同意を得て、精子の凍結保存を実施することができ、成人に達した時点で、本人の凍結保存継続の意思を確認する。
  2. 凍結保存精子を使用する場合には、その時点で本人の生存および意思を確認する。
  3. 凍結精子は、本人から廃棄の意思が表明されるか、あるいは本人が死亡した場合、廃棄される。
  4. 凍結保存精子の売買は認めない。
  5. 本法の実施にあたっては、精子凍結保存の方法ならびに成績、凍結保存精子の保存期間と廃棄、凍結した精子を用いた生殖補助医療に関して予想される成績と副作用などについて、文書を用いて説明し、了解を得た上で同意を取得し、同意文書を保管する。
  6. 医学的介入により造精機能低下の可能性がある場合は、罹患疾患の治療と造精機能の低下との関連、罹患疾患の治癒率についても文書を用いて説明する。


平成19年4月
社団法人 日本産科婦人科学会



日本のほとんどの産婦人科医が(社)日産婦の会員となっているため、考えたくはないけれど、もしものことがあった場合、"それでも最愛の人の子供を産みたい"という願いを叶えることはできないようです。

2011/09/20

抗がん剤の副作用により無精子症になるって本当ですか?

がんは現代医学では不治の病ではないと言われても、年齢や体力、精神力、がんのステージや進行度などにより、どうなるかはわかりません。また、治療により体内からがん細胞がなくなったとしても、元の生活にもどれる保証もありません。

大切な人ががんと診断されたとき、"不治の病ではないから大丈夫"と安心できる人がいるでしょうか?

パートナーや夫婦ががん患者の場合、回復を望むばかりで他のことを考える余裕がないかもしれません。しかし、将来的に子供を望んでいるとしたら、生殖機能について知っておかなければならないことがあります。

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターによる、
男性の場合の抗がん剤による性機能障害とは



性欲減退、インポテンツ、射精障害が主な症状です。

精巣は抗がん剤の感受性が高いため、生殖細胞は抗がん剤の量に応じて障害を受けます。精巣の萎縮(いしゅく)、乏精子症、無精子症となり、不妊となります。

抗がん剤治療開始2~3ヵ月以内は、抗がん剤が精液へ移行していることを考慮して、コンドームを用いた避妊が必要です。治療後精子数が回復してくれば、精子の運動性も回復し、受精能も回復するといわれています。治療前に精子を凍結保存しておき、後で解凍して受精させる方法もあります。主治医とよく相談しましょう。


ということです。なんとなく聞いたことがあったような気はしていましたが、やはり、そうでしたか。

夫が"血液のがん"だと知ったばかりで、そんな心配をするなんて不謹慎だと言う人もいるでしょう。しかし、私たち夫婦にとっては大切なことです。


"精子がなくなってしまうのか・・・"、心が沈んでしまいました。

私たちは結婚2年目で子供が1人おりますが、「もう1人は欲しい」と意見がまとまっていました。特に夫のほうがその望みを強く持っていたので、自分側の問題で不妊になってしまうのは悲しく感じるのではないかと心配になりました。

夫は自分ががんであることを受け入れている最中。しかし、私たち夫婦にとって大事なことなので、切り出しました。

「抗がん剤で精子がだめになるらしいんだけど、将来のために精子の冷凍保存を考えてみない?」

すると、夫は私の想像を遥かに超えるほどすんなりと受け入れていました。


もともと、私たちは性についてかなりオープンに話をするので、それと似たようなスムーズな会話でした。



ただし、この時点での私は人工授精や体外受精に関する知識が全くなかったので、それほど深く考えずに「念のため」くらいで夫に話し出せたのかもしれません。