治療中でも夫婦生活は可能です。
患者さん本人とパートナーの方が、抗がん剤の副作用とその発現時期をともに理解し、心もともに支えあい、信頼関係を維持していくことが重要です。体だけでなく気持ちのコンディションや、2人のコミュニケーションが大切です。お互いが満足できる方法を見つけていきましょう。
大切なこと
パートナーとのコミュニケーションは一番大切なことです。体の変化や心の状態などをはっきりと、勇気を出して相手に伝えてみましょう。苦痛や不安感があると快感に集中する気持ちもそがれます。「ここがつらい」、「こうしてほしい」など具体的に、前向きにパートナーに伝えてみましょう。以前のパターンにこだわらず、満足がいく性生活がみつけられるまでにはある程度時間がかかると思って、ゆったりかまえましょう。照明や音楽などを工夫して、体と気持ちをリラックスさせることもお勧めします。
粘膜障害を起こしやすい抗がん剤を使用しているときは…
口内炎などの粘膜障害を起こしやすい抗がん剤は、ときにペニスや陰部がただ...
2014/09/15
2014/09/14
避妊の必要があるお薬
夫の闘病を支えてくださる国立がん研究センター病院の医師や薬剤師の方々からいただいた情報および「がん情報サービス」の情報をもとに記事を書いています。
薬名 一般名 説明
リツキシマブ 中悪性度非ホジキンリンパ腫の治療に使用されます。胎児に及ぼす影響に関するデータ、あるいは男女の生殖能に及ぼす影響に関するデータはありませんが、投与中および投与後12ヵ月の間は避妊するように注意してください。
オンコビン注 ビンクリスチン硫酸塩(VCR) 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性がん、血管肉腫などの治療に用いられます。 また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ベプシド注 エトポシド(VP-16)...
2014/09/10
エンシュアリキッドを買うには処方せんが必要ですか?
原則として必要ですが、販売している薬局もあります。
薬局で扱う薬を医療用医薬品といいますが、大きくは「処方せん医薬品」と「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」に分類されていて、エンシュアリキッドは「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」です。
処方せん医薬品以外の医薬品は、薬局で価格を決め一般の方へ販売することが法律上は可能です。ただし、必要最小限度の数量で販売することや、薬剤師が「服薬指導」を行うこと、患者の氏名と連絡先を含む販売記録を作成すること、一般人を対象とする広告は行わないことなど、いろいろな条件があっての販売となるので、扱ってくれる薬局とそうでない薬局があります。
詳しい条件などは薬食発第0330016号で確認できます。(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のサイトへ移動します)
エンシュアリキッドをネットで購入しようとした人なら見かけたことがあるかもしれませんが、とある薬局がエンシュアリキッドのネット販売を行っていましたが、現在はネット販売を中止しています。というのも、処方せん医薬品以外の医薬品は対面販売と決められているので、この薬局は法律違反をしていたわけです。
お近くの薬局で販売している可能性はあるので、ご確認ください。
関連記事:
エンシュア・リキッド...
精子の凍結を考えています。どこでできますか?

一般的に、不妊治療を行っている病院やクリニックで可能です。
まず、治療中の病院で聞いてみるとよいでしょう。過去に、同じ病気で、同じように病院を探していた人が見つけた病院を紹介してくれることがあります。
ご自身でお探しになる場合は、インターネットでお住まいの地域名と「不妊治療」を入力して検索すると見つかりやすいです。「精子の凍結」などで検索しても、病院を探し当てるまでに時間が掛かります。
Google マップなどを使って「不妊治療」で検索すると、距離感もつかめます。
興味がある方は「冷凍保存した精子は夫の生存中に限り、使用できる」も併せてお読みくださ...
骨折した女性の救急搬送が38回拒否された事件の背景
埼玉県川口市で昨年2月、自宅で転倒し脚を骨折した50代女性が、複数の病院から計38回にわたり救急搬送の受け入れを断られていたことが2014年5月30日、県の調査で分かった。悪性リンパ腫の既往歴があり「専門外」などの理由で拒否されていた。
と、このような内容でテレビや新聞で報じられたのを見て、「ひどい!」という感想を持ったのですが、「BLOGOS」(無料通話アプリでおなじみのLINEが運営するニュースブログ)で書かれていた記事を読んで、そんな簡単な問題ではないのだと知りました。決して、搬送を断った病院が悪いわけではないのですね。自分の夫が同じような状況だったら、断った病院すべてに暴言を吐いてしまうかもしれませんが。
まさに私の専門分野、血液内科と救急がからんだ事件です。以前書いてNHKが特集してから埼玉県はどう考えているんでしょう。救急搬送36回:NHKさん。受け入れ拒否ではなく受け入れ不能です
でも二時間二十二分で搬送先がみつかったのは、まだ大都市さいたま市に近かったからでしょうが。...
2014/09/08
血液がん動画で解説 佐賀大専門医らネット配信

佐賀大学医学部などの血液がんの専門医有志が、がん医療の情報発信に取り組む東京のNPO法人と共同で、白血病や悪性リンパ腫などの血液がんの治療やメカニズムを解説するインターネット動画の配信を始めた。専門医が、直接語りかける形で代表的な症例や治療法の特徴を詳しく解説している。
日常の外来診察では、医師による患者への説明の時間が限られてしまい、「十分な情報が伝えられているのか」という懸念があった。患者やその家族が動画を繰り返し見ることで病気を正しく理解し、治療を納得しながら受けることができる環境を整えようと制作した。
動画には、佐賀大学医学部で血液・呼吸器・腫瘍内科を担当する木村晋也教授のほか、末岡榮三朗准教授や県医療センター好生館の久富...
悪性リンパ腫から復帰したメジャーリーグ選手「ジョン・レスター」

2014年7月31日、ジョン・レスター(Jon Lester/本名: Jonathan Tyler Lester)がボストン・レッドソックスからオークランド・アスレチックスへ移籍した。というニュースがあった。野球やメジャーリーグに関心がない人にとっては、「この人、誰?」状態ですよね。という私も疎いので、名前すら聞いたこともありませんでした。ただ、メジャーリーグで活躍する野球選手にこんな人がいるという事をお伝えしたいので、記事にしました。
レスターは2002年にボストン・レッドソックスから指名を受け、プロ入り。それから4年後の2006年8月中旬、背中の痛みに悩まされるようになり、8月下旬にシアトルに遠征した際、精密検査を受け、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」であることが判明した。抗がん剤による治療を受けることになったが、この血液がんは治療法が確立されており、がんは12月に寛解した。
抗がん剤の副作用で体重が激減したレスターに、自らも内臓の持病を抱えるフランコーナ監督がリハビリを進言。じっくりマイナーで調整させた上で昇格させ、ワールドシリーズ第4戦で先発に起用した。
ワールドシリーズとは、ポストシーズンの最終決戦。7戦4勝制。
ポストシーズンとは、レギュラーシーズン終了後に行う、アメリカンリーグとナショナルリーグの頂点を決めるトーナメント戦。少し違うが、日本シリーズのようなものかな。
本拠地フェンウェイ・パーク(球場)でカンザスシティ・ロイヤルズと対戦。9回2死三塁、超満員のスタンドから「レッツゴー・レスター」の大合唱が続く中、130球目の速球でカラスポを空振り三振に仕留めると、レスターはマウンド上で大きくガッツポーズをした。
キャッチャーのバリテック選手に抱えられると、次々に他の選手たちが集まって歓喜の輪ができた。そして、最後に駆けつけフランコーナ監督とは1分以上も抱擁し続けた。闘病生活を支えたのがフランコーナ監督についてレスターは「常に気にかけてくれていた。2番目の父親のようだ」と語った。
フランコーナ監督は「彼は最高の青年。それは記録を作ったからではない。彼が困難を克服したから。それを我々は誇りに思っている」と最大の賛辞を贈った。
バックネット裏の観客が撮影した映像がYoutubeにアップされていました↓↓↓
悪性リンパ腫から野球選手に復帰したジョン・レスターは、最後の投球について「人生で最高の出来事。最後のアウトの瞬間は一生忘れないだろう」と語った。...
2014/09/02
当ブログを読んで応援してくださる皆様へ
いつも励ましのお言葉をいただき、本当に、本当に、ありがとうございます。
抗がん剤治療が終了してから、早いもので2年8ヶ月が経ちました。定期健診も毎月→2ヶ月に一度→3ヶ月に一度になり、少しばかり安心して「ごく普通の生活」を送ってきました。これも、当ブログ読者の皆様をはじめ、応援してくださった方々がいたからだと感じております。
今日は定期健診の日でした。安心しきっていた私は、遊びに出掛けるときのように、「はい、はい。いってらっしゃい。」くらいに送りだしました。
夫がいない間、私は子供たちを連れて、子育て支援センターに出掛けていました。私が子供たちと帰宅した時には、夫はすでに帰宅していました。
ドアを開けるなり、「最悪だよ。」と一言。相変わらずの説明下手。何がどうしたのかを聞いてみると、血液検査でALTなどの値が前回より上昇していて、基準値を大幅に超えているとのこと。それだけでは何もわからないが、前回までの定期検診では大した変化もなかったけれど、今回は要注意らしく、数日後にはCTな...
2014/06/12
東京女子医大において悪性リンパ腫に対するNK細胞療法の第I/II相臨床試験を開始
バイオベンチャーのテラ<2191>は、東京女子医科大学と受託研究契約を締結。この受託研究契約に基づき、B細胞性悪性リンパ腫に対する分子標的薬であるリツキシマブを併用したNK細胞療法の安全性と有効性に関する第I/II相臨床試験を開始すると発表した。
NK細胞は、ウイルス感染細胞やがん細胞に対し殺傷能力(細胞傷害活性)を持つ細胞で、病気を未然に防ぐ働きをしていると考えられている。進行がん患者では、NK細胞の数と活性が低下していることが知られているため、NK細胞を対外で増幅・活性化することががんに対して効果的であると期待されている。
一方で、従来、欧米を中心に実施されてきた臨床研究においては、NK細胞の体外での増幅・活性化が不十分であり高い抗腫瘍効果が得られておらず、世界中の研究者がこの課題の克服に取り組んでいる。
本臨床試験は、同社が2011年6月に特許出願を行ったNK細胞の培養に関する新規技術を用いて行う。これまで論文報告されてきた技術では、NK細胞の増幅が十分でない場...