患者さん本人とパートナーの方が、抗がん剤の副作用とその発現時期をともに理解し、心もともに支えあい、信頼関係を維持していくことが重要です。体だけでなく気持ちのコンディションや、2人のコミュニケーションが大切です。お互いが満足できる方法を見つけていきましょう。
- 大切なこと
パートナーとのコミュニケーションは一番大切なことです。体の変化や心の状態などをはっきりと、勇気を出して相手に伝えてみましょう。苦痛や不安感があると快感に集中する気持ちもそがれます。「ここがつらい」、「こうしてほしい」など具体的に、前向きにパートナーに伝えてみましょう。以前のパターンにこだわらず、満足がいく性生活がみつけられるまでにはある程度時間がかかると思って、ゆったりかまえましょう。照明や音楽などを工夫して、体と気持ちをリラックスさせることもお勧めします。 - 粘膜障害を起こしやすい抗がん剤を使用しているときは…
口内炎などの粘膜障害を起こしやすい抗がん剤は、ときにペニスや陰部がただれてヒリヒリする症状を起こします。粘膜に刺激を与えないようにして、局所は清潔を保つようにします。粘膜障害を起こしやすい、治療終了後の10日間から2週間は性生活は避けるようにします。 - 骨髄抑制期の性生活
白血球が減少しているときは、性行為が原因で感染を起こす可能性があります。また、血小板減少期は少しの刺激で粘膜から出血したり、力んだりすることで脳出血する可能性もあります。血液検査の結果をみながら、出血の危険性がある時期は性生活を避けるようにします。性交渉時には、感染予防のためにも必ずコンドームを使用しましょう。口や肛門を使った行為は避けましょう。不特定多数の相手と交渉を持つことは避けましょう。 - 性交痛について
女性の場合、ホルモンバランスの崩れにより、膣の乾燥や膣粘膜の萎縮が生じます。その結果、性交痛をともなうことが多く、痛みが続くと性生活への意欲もそがれてしまいます。痛みを我慢せず、パートナーに伝えて、前戯をのばすなどの配慮をしてもらいましょう。薬局などで市販されている、水溶性の潤滑用ゼリーなどを用いるのもよいでしょう。また、性交そのものをゴールにせず、快感を得るためのほかの方法を試すのもよいでしょう。 - その他
性器出血や分泌物があるときは、タンポンではなくナプキンを使用しましょう。化学療法のために生理がとまった場合、治療を受けたときの年齢や治療内容にもよりますが、急に排卵が戻ることもあります。妊娠を望まないのであれば、生理が止まっている間も、コンドームでの物理的な避妊が必要です。
治療中の性生活(夫婦生活)について、担当医などには相談しにくい思いが少なからずあるのではないでしょうか。そのような環境の中での愛情表現に迷ったり、悩んだりするのは当然のことです。そして、その迷いや悩みが少しでも緩和されることを願って、一冊の本を紹介したいと思います。これは、著者の恋人が悪性リンパ腫になり、その治療過程で性の問題と向き合っていく・・・。触れ合うことさえも治療の妨げになる可能性があることや、治療後の気持ちや体の様子などがドキュメンタリーとして書かれていて、がん患者をパートナーに持つ方に、ぜひ読んでいただきたいです。
治療中は避妊の必要があるお薬があるので、「避妊の必要があるお薬」を参考の上、医師にご相談ください。
がん情報サービスより引用