2014/09/15

治療中の性生活はあきらめたほうがいいですか?

治療中でも夫婦生活は可能です。


患者さん本人とパートナーの方が、抗がん剤の副作用とその発現時期をともに理解し、心もともに支えあい、信頼関係を維持していくことが重要です。体だけでなく気持ちのコンディションや、2人のコミュニケーションが大切です。お互いが満足できる方法を見つけていきましょう。

  1. 大切なこと
    パートナーとのコミュニケーションは一番大切なことです。体の変化や心の状態などをはっきりと、勇気を出して相手に伝えてみましょう。苦痛や不安感があると快感に集中する気持ちもそがれます。「ここがつらい」、「こうしてほしい」など具体的に、前向きにパートナーに伝えてみましょう。以前のパターンにこだわらず、満足がいく性生活がみつけられるまでにはある程度時間がかかると思って、ゆったりかまえましょう。照明や音楽などを工夫して、体と気持ちをリラックスさせることもお勧めします。
  2. 粘膜障害を起こしやすい抗がん剤を使用しているときは…
    口内炎などの粘膜障害を起こしやすい抗がん剤は、ときにペニスや陰部がただれてヒリヒリする症状を起こします。粘膜に刺激を与えないようにして、局所は清潔を保つようにします。粘膜障害を起こしやすい、治療終了後の10日間から2週間は性生活は避けるようにします。
  3. 骨髄抑制期の性生活
    白血球が減少しているときは、性行為が原因で感染を起こす可能性があります。また、血小板減少期は少しの刺激で粘膜から出血したり、力んだりすることで脳出血する可能性もあります。血液検査の結果をみながら、出血の危険性がある時期は性生活を避けるようにします。性交渉時には、感染予防のためにも必ずコンドームを使用しましょう。口や肛門を使った行為は避けましょう。不特定多数の相手と交渉を持つことは避けましょう。
  4. 性交痛について
    女性の場合、ホルモンバランスの崩れにより、膣の乾燥や膣粘膜の萎縮が生じます。その結果、性交痛をともなうことが多く、痛みが続くと性生活への意欲もそがれてしまいます。痛みを我慢せず、パートナーに伝えて、前戯をのばすなどの配慮をしてもらいましょう。薬局などで市販されている、水溶性の潤滑用ゼリーなどを用いるのもよいでしょう。また、性交そのものをゴールにせず、快感を得るためのほかの方法を試すのもよいでしょう。
  5. その他
    性器出血や分泌物があるときは、タンポンではなくナプキンを使用しましょう。化学療法のために生理がとまった場合、治療を受けたときの年齢や治療内容にもよりますが、急に排卵が戻ることもあります。妊娠を望まないのであれば、生理が止まっている間も、コンドームでの物理的な避妊が必要です。

治療中の性生活(夫婦生活)について、担当医などには相談しにくい思いが少なからずあるのではないでしょうか。そのような環境の中での愛情表現に迷ったり、悩んだりするのは当然のことです。そして、その迷いや悩みが少しでも緩和されることを願って、一冊の本を紹介したいと思います。これは、著者の恋人が悪性リンパ腫になり、その治療過程で性の問題と向き合っていく・・・。触れ合うことさえも治療の妨げになる可能性があることや、治療後の気持ちや体の様子などがドキュメンタリーとして書かれていて、がん患者をパートナーに持つ方に、ぜひ読んでいただきたいです。


治療中は避妊の必要があるお薬があるので、「避妊の必要があるお薬」を参考の上、医師にご相談ください。


がん情報サービスより引用

2014/09/14

避妊の必要があるお薬

夫の闘病を支えてくださる国立がん研究センター病院の医師や薬剤師の方々からいただいた情報および「がん情報サービス」の情報をもとに記事を書いています。

薬名 一般名 説明
リツキシマブ 中悪性度非ホジキンリンパ腫の治療に使用されます。胎児に及ぼす影響に関するデータ、あるいは男女の生殖能に及ぼす影響に関するデータはありませんが、投与中および投与後12ヵ月の間は避妊するように注意してください。
オンコビン注 ビンクリスチン硫酸塩(VCR) 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性がん、血管肉腫などの治療に用いられます。 また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ベプシド注 エトポシド(VP-16) 小細胞肺がん、ホジキン病非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、精巣(睾丸)腫瘍、絨毛性疾患の治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
メソトレキセート注 メトトレキサート(MTX) 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、絨毛性疾患の治療や症状の緩和に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、治療期間中や治療が終わって少なくとも半年間は、男性の方も女性の方も避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
エンドキサンP錠 シクロホスファミド(CPA) 多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、乳がん、急性白血病、真性多血症、肺がん、神経腫瘍、骨腫瘍、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸がん、子宮がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、絨毛性疾患、横紋筋肉腫、悪性黒色腫などの治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されており、人においても催奇形性を疑う報告がありますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
エンドキサン注 シクロホスファミド水和物(CPA、CPM) 多発性骨髄腫、ホジキン病非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、真性多血症、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、神経芽腫、網膜芽腫、骨腫瘍、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭がん、胃がん、膵がん、肝臓がん、結腸がん、睾丸腫瘍、絨毛性疾患、横紋筋肉腫、悪性黒色腫(メラノーマ)の治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されており、人においても催奇形性を疑う報告がありますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
塩酸プロカルバジンカプセル プロカルバジン塩酸塩(別名:塩酸プロカルバジン)(PCZ) ホジキン病非ホジキンリンパ腫の治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
シスプラチン注/シスプラメルク注/
プラトシン注/ブリプラチン注/ランダ注
シスプラチン(CDDP、DDP) 睾丸腫瘍、膀胱がん、腎盂・尿道がん、前立腺がん、卵巣がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、食道がん、子宮頸がん、神経芽細胞腫、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、精巣腫瘍、卵巣がん、性腺外腫瘍、悪性胸膜中皮腫、悪性骨腫瘍、子宮体がん、悪性リンパ腫、小児悪性固形腫瘍(横紋筋肉腫、神経芽腫、肝芽腫その他肝原発悪性腫瘍、髄芽腫等)などの治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ノバントロン注 塩酸ミトキサントロン(MIT、MXN) 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病非ホジキンリンパ腫、乳がん、肝臓がんの治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
ラステットSカプセル エトポシド(VP-16) 小細胞肺がん、ホジキン病非ホジキンリンパ腫、子宮頸がんの治療に用いられます。
動物の試験では奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
アドリアシン注 ドキソルビシン塩酸塩(DXR) ホジキン病非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃がん、胆のうがん、胆管がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸がん、直腸がん、乳がん、膀胱腫瘍、骨肉腫の治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
トポテシン注/カンプト注 塩酸イリノテカン(CPT-11) 小細胞肺がん、非小細胞肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、乳がん、皮膚がん、非ホジキンリンパ腫の治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ユーエフティカプセル/E顆粒(UFT) テガフール・ウラシル配合剤(UFT) 頭頸部がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、胆のうがん、胆管がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がんなどの治療や症状の緩和に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ティーエスワンカプセル(S-1) テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤 胃がん、結腸・直腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、手術不能または再発乳がん、膵がん、胆道がんの治療に用いられます。
動物の試験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ベサノイドカプセル トレチノイン(ATRA) 急性前骨髄球性白血病の治療に用いられます。
胎児に奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は、治療中だけでなく、治療開始前少なくとも1ヶ月間と、治療終了後も少なくとも1ヶ月間は避妊することをお勧めします。
フトラフールカプセル テガフール(FT-207) 胃がん、結腸がん、直腸がん、乳がんなどの治療や症状の緩和に用いられます。
動物の試験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談してください。
ロイケリン散 メルカプトプリン(6-MP) 主に急性白血病の治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されており、人においても催奇形性を疑う報告がありますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをおすすめします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
アルケラン錠 メルファラン(L-PAM) 多発性骨髄腫の治療に用いられます。
動物の試験では奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
ハイドレアカプセル ヒドロキシカルバミド(HU) 慢性骨髄性白血病の治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ダカルバジン注 ダカルバジン(DIC、DTIC) 悪性黒色腫(メラノーマ)の治療に用いられます。また、これ以外のがんの治療に用いられることもあります。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ナベルビン注 酒石酸ビノレルビン(VNB) 非小細胞肺がんの治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、妊娠の可能性のある方は何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
ジェムザール注 塩酸ゲムシタビン(GEM) 非小細胞肺がん、膵臓がんの治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
イレッサ錠 ゲフィチニブ 非小細胞肺がんの治療に用いられますが、現在このお薬を使用できるのは、手術ができない方や再発してしまった方に限られます。
動物の実験で胎児重量の減少や出生児の早期死亡が報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
タキソール注/パクリタキセル注 パクリタキセル(PTX) 卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がんの治療に用いられます。
動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬で治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
マブリン散 ブスルファン(BUS) 慢性骨髄性白血病、真性多血症の治療に使用されるお薬です。動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、治療期間中や治療が終わって少なくとも4ヶ月間は、男性の方も女性の方も避妊なさることをおすすめします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。
5-FU錠 フルオロウラシル(5-FU) 胃がん、結腸がん、直腸がん、乳がん、子宮頸がんの治療に動物の実験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、男性の方も女性の方も何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した場合には、すぐに医師に相談して下さい。
ノルバデックス(D)錠/タスオミン(D)錠 クエン酸タモキシフェン(TAM) 主に乳がんの治療に使用されるお薬です。動物の実験では、妊娠や分娩への影響が報告されており、このお薬を使用している患者さんにおいても、流産・先天異常・胎児死亡などの報告がありますので、お薬を飲んでいる間はもちろん、お薬を飲む必要がなくなってから少なくとも2ヶ月間は、何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。ただし、避妊方法の1つである経口避妊薬(ピル)は、このお薬の効果を弱めるため使用しないで下さい。もしこのお薬で治療を行っている間に妊娠した場合は、すぐに医師に相談して下さい。
グリベック錠 メシル酸イマチニブ 染色体検査や遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された方に限って使用されるお薬です。このお薬は動物の試験で奇形を引き起こすことが報告されておりますので、何らかの方法で避妊なさることをお勧めします。このお薬を使った治療を行っている間に妊娠した際は、すぐに医師に相談して下さい。

2014/09/10

エンシュアリキッドを買うには処方せんが必要ですか?

原則として必要ですが、販売している薬局もあります。

薬局で扱う薬を医療用医薬品といいますが、大きくは「処方せん医薬品」と「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」に分類されていて、エンシュアリキッドは「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」です。

処方せん医薬品以外の医薬品は、薬局で価格を決め一般の方へ販売することが法律上は可能です。ただし、必要最小限度の数量で販売することや、薬剤師が「服薬指導」を行うこと、患者の氏名と連絡先を含む販売記録を作成すること、一般人を対象とする広告は行わないことなど、いろいろな条件があっての販売となるので、扱ってくれる薬局とそうでない薬局があります。

詳しい条件などは薬食発第0330016号で確認できます。(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のサイトへ移動します)

エンシュアリキッドをネットで購入しようとした人なら見かけたことがあるかもしれませんが、とある薬局がエンシュアリキッドのネット販売を行っていましたが、現在はネット販売を中止しています。というのも、処方せん医薬品以外の医薬品は対面販売と決められているので、この薬局は法律違反をしていたわけです。

お近くの薬局で販売している可能性はあるので、ご確認ください。


関連記事:
エンシュア・リキッド ~絶食中の栄養補給として処方される栄養ドリンク~

精子の凍結を考えています。どこでできますか?

一般的に、不妊治療を行っている病院やクリニックで可能です。

まず、治療中の病院で聞いてみるとよいでしょう。過去に、同じ病気で、同じように病院を探していた人が見つけた病院を紹介してくれることがあります。

ご自身でお探しになる場合は、インターネットでお住まいの地域名と「不妊治療」を入力して検索すると見つかりやすいです。「精子の凍結」などで検索しても、病院を探し当てるまでに時間が掛かります。

Google マップなどを使って「不妊治療」で検索すると、距離感もつかめます。


興味がある方は「冷凍保存した精子は夫の生存中に限り、使用できる」も併せてお読みください。

骨折した女性の救急搬送が38回拒否された事件の背景

埼玉県川口市で昨年2月、自宅で転倒し脚を骨折した50代女性が、複数の病院から計38回にわたり救急搬送の受け入れを断られていたことが2014年5月30日、県の調査で分かった。悪性リンパ腫の既往歴があり「専門外」などの理由で拒否されていた。

と、このような内容でテレビや新聞で報じられたのを見て、「ひどい!」という感想を持ったのですが、「BLOGOS」(無料通話アプリでおなじみのLINEが運営するニュースブログ)で書かれていた記事を読んで、そんな簡単な問題ではないのだと知りました。決して、搬送を断った病院が悪いわけではないのですね。自分の夫が同じような状況だったら、断った病院すべてに暴言を吐いてしまうかもしれませんが。
まさに私の専門分野、血液内科と救急がからんだ事件です。以前書いてNHKが特集してから埼玉県はどう考えているんでしょう。救急搬送36回:NHKさん。受け入れ拒否ではなく受け入れ不能です
でも二時間二十二分で搬送先がみつかったのは、まだ大都市さいたま市に近かったからでしょうが。(もう1例は36回、5時間8分ですが、救急車運用考えてもばかみたい)

まず読売の記事。骨折なのに「専門外」女性の救急搬送38回拒否たかが骨折なのに診てくれないと医療機関の怠慢を訴えるような記事です。

この記事だけなら、本当に埼玉救急は仕方ないなと責められても仕方ないでしょう。しかし東京新聞の記事をみると現状の問題点が何も書かれていなかった読売新聞の認識不足が明らかになります。救急受け入れ38回拒否 川口の骨折女性 昨年、搬送2時間超
まずこの女性は悪性リンパ腫という持病をお持ちです。しかもその病気は現在も存在し、原発部位以外脳に病変を認めているようです。

リンパ腫ではあまり転移という言葉は使わないのですが、もし脳にリンパ腫が現在もあるのであれば入院して治療している事が予想されます。しかしこのかたは入院していませんので、この病変はおちついている可能性が高い事が予想されます。または残存していても放射線治療中で外来で通院している可能性もあるでしょう。つまり状態はとても落ち着いている可能性が高いのです。

もしくは様々な治療をおこなったが効果がなく、入院治療の適応がなくなったことも考えられますが、その際は急変時の対応策は普通計画されているはずです。(緩和治療計画という事です)

そのような状況が推定されるとリンパ腫の事はあまり考えずに普通の骨折治療をして大丈夫の可能性が高くなります。

しかしその情報があるはずの悪性リンパ腫を診てくれていた病院の整形は万床。そして他の病院に36回診療依頼をしたにもかかわらず受けれてくれなかったとの記事なのです。

だから言っているでしょう。血液内科の既往、持病を持っていたらその患者さんはなかなか病院からの情報がないと取ってくれません。いや情報があっても何かあったら専門家がいませんのでととってくれません。

これが血液内科、そしてその患者さんの現状なのです。

骨折がリンパ腫の治療に伴うステロイドの影響かもしれませんし、もし脳の病変がコントロールできないくらいのものだとしたら、リンパ腫骨病変にともなう骨折かもしれません。それは一般の血液内科以外の医師達にしてみれば引き取る事で患者さんを悪化させてしまう恐怖にしかならないのです。

また救急隊もすこし考えればいいのです。血液内科がいないと言われて断られたら、血液内科がいる病院をあたればいいのに、とりあえず病院に片っ端から連絡するから38回も連絡する事になるんです。(まあ血液内科がある病院少ないですけど)

いったいあの久喜の事件は反映されているんですか?

川越救急クリニックの上原先生が、埼玉県の医療改善状況を記事にしています。救急車タブレット端末使用・・約2ヶ月経過
でも結局38回だもな。分析しても対策とらなければかわりません。

2014/09/08

血液がん動画で解説 佐賀大専門医らネット配信

佐賀大学医学部などの血液がんの専門医有志が、キャンサーネットジャパンと共同制作した啓発動画サイト

佐賀大学医学部などの血液がんの専門医有志が、がん医療の情報発信に取り組む東京のNPO法人と共同で、白血病や悪性リンパ腫などの血液がんの治療やメカニズムを解説するインターネット動画の配信を始めた。専門医が、直接語りかける形で代表的な症例や治療法の特徴を詳しく解説している。

日常の外来診察では、医師による患者への説明の時間が限られてしまい、「十分な情報が伝えられているのか」という懸念があった。患者やその家族が動画を繰り返し見ることで病気を正しく理解し、治療を納得しながら受けることができる環境を整えようと制作した。

動画には、佐賀大学医学部で血液・呼吸器・腫瘍内科を担当する木村晋也教授のほか、末岡榮三朗准教授や県医療センター好生館の久富崇医師ら計7人が出演している。病気や治療法別に全12講座あり、1回20~40分程度。

動画で木村教授は、急性リンパ性白血病は小児で95%、成人は75%が症状が落ち着いて安定した状態の「寛解」というデータを紹介し、「血液のがんは治療が非常に進歩している分野で、白血病は不治の病ではない。しっかり治療して完治を目指しましょう」と呼び掛けている。

血液のがんは高齢化社会で患者が増えていくことが予想されるという。種類によって進行が速度や治療法、病後の経過も異なるため、患者の理解が適切な治療への第一歩となる。木村教授は「治療の手順や段階を知ることで次にどんな症状が現れるか予測でき、精神的な負担を和らげることもできる」と話す。

共同制作したNPO法人キャンサーネットジャパンは、新しい治療法が確立された場合などに動画を最新情報に更新していく。「血液のがんは骨髄ドナー提供など患者以外の理解も不可欠。多くの人に見てほしい」と話している。サイトURLはhttp://www.cancernet.jp/hematologiccancer/


佐賀新聞より引用

悪性リンパ腫から復帰したメジャーリーグ選手「ジョン・レスター」


2014年7月31日、ジョン・レスター(Jon Lester/本名: Jonathan Tyler Lester)がボストン・レッドソックスからオークランド・アスレチックスへ移籍した。というニュースがあった。野球やメジャーリーグに関心がない人にとっては、「この人、誰?」状態ですよね。という私も疎いので、名前すら聞いたこともありませんでした。ただ、メジャーリーグで活躍する野球選手にこんな人がいるという事をお伝えしたいので、記事にしました。

レスターは2002年にボストン・レッドソックスから指名を受け、プロ入り。それから4年後の2006年8月中旬、背中の痛みに悩まされるようになり、8月下旬にシアトルに遠征した際、精密検査を受け、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」であることが判明した。抗がん剤による治療を受けることになったが、この血液がんは治療法が確立されており、がんは12月に寛解した。

抗がん剤の副作用で体重が激減したレスターに、自らも内臓の持病を抱えるフランコーナ監督がリハビリを進言。じっくりマイナーで調整させた上で昇格させ、ワールドシリーズ第4戦で先発に起用した。
  • ワールドシリーズとは、ポストシーズンの最終決戦。7戦4勝制。
  • ポストシーズンとは、レギュラーシーズン終了後に行う、アメリカンリーグとナショナルリーグの頂点を決めるトーナメント戦。少し違うが、日本シリーズのようなものかな。
本拠地フェンウェイ・パーク(球場)でカンザスシティ・ロイヤルズと対戦。9回2死三塁、超満員のスタンドから「レッツゴー・レスター」の大合唱が続く中、130球目の速球でカラスポを空振り三振に仕留めると、レスターはマウンド上で大きくガッツポーズをした。

キャッチャーのバリテック選手に抱えられると、次々に他の選手たちが集まって歓喜の輪ができた。そして、最後に駆けつけフランコーナ監督とは1分以上も抱擁し続けた。闘病生活を支えたのがフランコーナ監督についてレスターは「常に気にかけてくれていた。2番目の父親のようだ」と語った。

フランコーナ監督は「彼は最高の青年。それは記録を作ったからではない。彼が困難を克服したから。それを我々は誇りに思っている」と最大の賛辞を贈った。

バックネット裏の観客が撮影した映像がYoutubeにアップされていました↓↓↓

悪性リンパ腫から野球選手に復帰したジョン・レスターは、最後の投球について「人生で最高の出来事。最後のアウトの瞬間は一生忘れないだろう」と語った。 ここまでの偉業を成し遂げてもらいたいわけじゃない。悪性リンパ腫の治療後にプロ野球選手として活躍している人がいることを知って、少しでも悪性リンパ腫と闘っている人たちの励みになるといいなと思います。

2014/09/02

当ブログを読んで応援してくださる皆様へ

いつも励ましのお言葉をいただき、本当に、本当に、ありがとうございます。

抗がん剤治療が終了してから、早いもので2年8ヶ月が経ちました。定期健診も毎月→2ヶ月に一度→3ヶ月に一度になり、少しばかり安心して「ごく普通の生活」を送ってきました。これも、当ブログ読者の皆様をはじめ、応援してくださった方々がいたからだと感じております。

今日は定期健診の日でした。安心しきっていた私は、遊びに出掛けるときのように、「はい、はい。いってらっしゃい。」くらいに送りだしました。

夫がいない間、私は子供たちを連れて、子育て支援センターに出掛けていました。私が子供たちと帰宅した時には、夫はすでに帰宅していました。

ドアを開けるなり、「最悪だよ。」と一言。相変わらずの説明下手。何がどうしたのかを聞いてみると、血液検査でALTなどの値が前回より上昇していて、基準値を大幅に超えているとのこと。それだけでは何もわからないが、前回までの定期検診では大した変化もなかったけれど、今回は要注意らしく、数日後にはCTなどの予約が入っています。

また、詳しいことは何かがはっきりし次第、報告させていただきますが、大したことではないように、一緒に祈っていてください。どうか、みなさん、よろしくお願いします。