2011/12/16

ビタミンKで非ホジキンリンパ腫が予防できる!?

非ホジキンリンパ腫の予防につながる栄養素が発見されたそうです!

発見者

米国ミネソタ州所在のメイヨー総合がんセンター


発見に至った研究内容

非ホジキンリンパ腫と診断されたばかりの603人の患者、その対照として、非がん患者1,007人を対象に、過去2年間に関する、120種類以上の食品目の摂取に関するアンケートを実施した。それ以外に、ビタミンやミネラルのサプリメント摂取についての質問もあった。

研究の結果、ビタミンKのレベルが高いグループの被験者は、非ホジキンリンパ腫のリスクが45%もの確率で劇的に減少することがわかった。



ということで、非ホジキンリンパ腫の予防につながる栄養素はビタミンKだそうです。夫はすでに悪性リンパ腫に侵されていますが、妻の勝手な想像で、再発防止のために、退院後はビタミンKが摂取できる食事を用意しようと思っています。


ビタミンKとは


ビタミンKとは、特定の植物に含まれていたり、細菌の合成によって形成される、脂容性ビタミンのことです。

ビタミンKはK1~K7の7種類がありますが、天然の食品に含まれるビタミンKは、K1(フィトナジオン)とK2(メナテトレノン)です。

ビタミンK1は、主に植物の葉緑体で作られるので、緑黄色野菜や海草類などの食品に多く含まれています。

ビタミンK2は、微生物によって作られるので、納豆などの食品に多く含まれています。


ビタミンKが多く含まれる食べ物

リーフレタス、ほうれんそう、納豆


ビタミンKが含まれる食べ物

たまねぎ、ピーマン、アルファルファもやし(糸もやし)、また、いちごなどの果物


アルファルファって???
「植物パワーが濃縮され、ガン予防にも効果的!」とテレビや雑誌などで紹介されてから人気上昇中の「もやし」。そのなかでも「アルファルファもやし」が最適だそうです。しかし、近所のスーパーで売っていない!ということも多いはず。私たちの近所のスーパーでは見たことがありません。そこで探してみると、1週間ほどで収穫できるうえ、空きビンを利用して簡単に作れるそうです!

そこで、自宅で作っちゃおう!という方は、こちらも参考にしてみてください。

アルファルファもやしの種が欲しい! →→→ めぶき
種だけあっても困っちゃう… →→→ キッチン菜園が楽しめる栽培セット


サプリメントで摂取してもいいの?

直接食すことやサプリメントで摂取するかに関わらず、ビタミンKをたくさん摂取することが、非ホジキンリンパ腫のリスクの減少に関係しています。ただし、サプリメントでビタミンKを大量に摂取したからといって、さらにリスクが減少するわけではありません。

ビタミンK1やK2の量など、サプリメントによってさまざまです。また健康のためのサプリなのに、実は体に良くない成分を摂取していることがあります。私の勝手な意見ですが、添加物や防腐剤などを使っていない安心できるサプリメントなら、サプリ専門店インターフェニックスがおすすめです。


情報源: Vitamin K May Protect Against Developing Non-Hodgkin Lymphoma, Say Mayo Clinic Researchers

2011/12/14

治療中の歯磨きにも注意が必要!~口内炎・口腔乾燥の予防と対策~

口の粘膜が赤くなり痛みが出る口腔粘膜炎(口内炎)が起こったり、口が渇く、傷つきやすくなるなど、治療中にはさまざまな口のトラブルが起こります。風味、温度、硬さの極端な食べ物は口への刺激になります。


●予防策
口の中を傷つけないように、歯ブラシは毛先のやわらかいものを使用し、強いブラッシングは避けましょう。毎食後と朝起きたとき、夜寝る前に歯磨きやうがいを忘れずに行い、舌の汚れ(舌苔)も落とすようにして、口の中を常に清潔にしましょう。治療前に歯科医による口腔チェックを受けておき、入れ歯の調整や虫歯の治療をすませておきましょう。


私たちが普段使用しているような歯ブラシとは違って、先端が毛ではなくスポンジでできている口腔用スポンジブラシがあることをご存知でしょうか?ドラッグストアの介護用品コーナーに置いてありますが、介護に関わったことがなければ存在すら知らない方が多いのではないでしょうか。正直、私も夫が悪性リンパ腫の治療を開始するまでは知りませんでした。

口腔ケア用品は毎日使う消耗品ですので、下の写真のように50本入りなどがおすすめです。他に紙軸タイプもありますが、濡れても使いやすいのはやはりプラスチック軸タイプですね。



また、ベッドの上にいるときに便利なのがウェットティッシュタイプ。これなら洗面所へ行くことなく、手軽にお口のお掃除ができます。




●口内炎の対策
口の中の状態を自分でもよく観察してみましょう。痛みが起こる前に、腫れぼったくなったり、ピリピリする感じを自覚することがあります。口内炎のできている場所や色、大きさはどうか、出血があるかどうか、味覚に変化はないか、舌苔が付いていないかも確認します。症状を和らげるのみ薬やうがい薬、塗り薬などもありますので、担当医や看護師に相談しましょう。

栄養や水分をとるための調理の工夫をします。やわらかく、水気の多い料理をくりましょう。味付けを薄くし、材料を小さく刻んだり、ミキサーにかけるなどして食べやすくすれば、かみやすく、のみ込みやすくなります。冷ましたお茶や水などをこまめにとり、口の中の乾燥を防ぎ、口の中の潤いを保つようにします。

体調を整えるためにも、ビタミン(特にビタミンB2)を多く含む野菜や果物をとり、バランスのよい食事を心がけます。疲労も避け、睡眠も十分にとりましょう。

●口腔乾燥の対策
近くに水や砕いた氷を用意しておき、こまめに口の中を潤しておきます。あめをなめたりガムをかんだりするのもよい方法です。

2011/12/12

副作用で味覚異常があるとき、何か対処法はありますか?

治療の影響で、味覚、嗅覚が変化することがあります。原因としては、味を感じる味蕾(みらい)細胞の減少や感覚の変化などが考えられています。

多くの場合、においにも敏感になっているので、においの強い納豆、肉、青魚などは控え、食器なども見た目にもおいしく感じられる工夫をしましょう。

また、口の中を清潔にし、乾燥させないことも大切です。

●塩味、しょうゆ味などを苦く感じたり、金属のような味に感じるとき

塩味を控えめにしたり、いろいろな調味料を使って、食べられそうな味を試し、だしを効かせたり、ごまやゆずなどの香りや、酢を利用して風味を添えると食べやすくなります。

●甘味に過敏になり、何でも甘く感じる

料理に砂糖やみりんを使わないで、塩、しょうゆ、みそなどで濃いめに味を付けてみたり、酢、ゆず、レモンなどの酸味を利用しましょう。汁物は食べられることが多いようです。

●味が感じられないとき

濃さを加減しながら味にメリハリを付けてみます。酢の物、果物などの酸味を利用し、食事の温度は人肌程度にすると食べやすいようです

2011/11/23

血小板が減少するとどうなるの?


1.血小板減少とは

抗がん剤の影響で骨髄機能が障害されて、出血を止める作用がある血小板が減少することがあります。

2.血小板減少の原因

血液は、骨のなかにある骨髄と呼ばれるところでつくられていますが、この骨髄が抗がん剤の影響を受けると、血液をつくる機能が低下(骨髄抑制)します。そうなると血小板がつくられず、通常20~35万/μl(1μlあたり20~35万個)ある血小板が減少してしまいます。

3.血小板減少の時期

一般的に7~10日目で減少しはじめ、14日間前後の減少期間となりますが、使用する抗がん剤によって減少する時期、期間には差があります。

4.血小板減少による影響

血小板には、血管の外に出た血液を凝固させる働き(止血作用があります)があります。この血小板が減少すると出血が起きやすく、また出血が止まりにくくなります。

5.血小板減少時の症状

  • 内出血(皮下出血)
  • 口のなかの出血(歯磨きによる)
  • 鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
  • 黒い便や血便、血尿
  • 皮膚の点状出血、斑状出血

6.血小板減少時の対処法


出血時の止血の方法

抗がん剤による出血は簡単に止まらないこともあるので、まず担当医に相談しましょう。止血の方法(例えば鼻出血、歯肉出血、外傷など)は以下のとおりです。
  • 心身を安静にします。
    身体を動かすことにより、全身への血流が増加し出血を助長してしまいます。なるべく静かに横になり、心身の安静に努めましょう。
  • 出血部位を圧迫して止血します。
    出血している部位をタオルやガーゼで圧迫し止血します。
  • 採血、点滴の針を抜いた後は、5分以上圧迫して止血する。
  • 鼻血が出たときは、小鼻を指で圧迫し、氷で冷やす。
  • 冷罨法で止血します。
    冷却まくらや氷水を入れたビニール袋で、その部位を冷やすことにより、血管を収縮させ止血させます。
  • 出血部位は清潔に保ちましょう。
  • 出血したら速やかに止血しましょう。
  • 出血が止まらないときは担当医に連絡してください。

7.血小板が低下しているときの注意点


日常生活上の注意

  • 体をぶつけたり、転倒や外傷、打撲しないよう注意しましょう。
  • 皮膚を強くかいたり、こすったりしないようにしましょう。
  • きり傷をつくらないよう注意しましょう。
    ・ひげそりは電気カミソリで行うとよいでしょう。
    ・庭いじり、ペットの入浴には手袋を使うとよいでしょう。
  • 爪は短めに切り、皮膚に傷をつくらないようにしましょう。
  • 歯磨きはやわらかい歯ブラシを使用し、歯ぐきを傷つけないようにしましょう。
  • 衣服やベルト、下着を着用する場合、きつく身体を締め付けないようにしましょう。
  • 排便時にはなるべく力まないようにしましょう。日ごろより消化のよい食事を心がけ、便通をととのえ硬い便にならないようにしましょう。
  • アルコールは避けましょう。アルコールには血液を固まりにくくする作用があります。
  • 鎮痛剤、解熱剤などには血小板の凝集機能を抑制する作用のあるものもあります。薬の服用については、担当医または薬剤師に相談してください。


独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載

白血球が減少するとどうなるの?


1.白血球減少とは

血液は白血球・赤血球・血小板で構成されていますが、そのうち白血球は細菌、真菌(かび)、ウイルスなどの病原菌と戦い、体を守る働きをしています。白血球のうちもっとも多いのは好中球で、全白血球の60~70%を占めます。抗がん剤の影響で好中球が減少すると、病原体と戦う身体の抵抗力が低下して細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、感染症が発症します。

この白血球減少は、ほとんどの抗がん剤で出現する副作用です。

2.血球減少の原因

がん化学療法剤は分裂の盛んな細胞を標的にするため、髪・爪・皮膚・粘膜・骨髄(血液をつくるところ)などの正常な細胞まで攻撃してしまいます。通常、化学療法は何クールかを繰り返して行われるため、骨髄能力の回復が低下してしまいます。そのため、白血球低下時には感染症などの合併症を発症すると重篤になりやすく、感染症の予防が大切になります。

3.白血球減少の時期

通常、白血球は血液のなかに4,000~9,000/mm3(1mm3あたり4,000~9,000個)あり、そのうち好中球は2,000~7,500/mm3あります。白血球が2,000/mm3以下、好中球が1,000/mm3以下になると、感染の頻度が増加するといわれています。好中球は、抗がん剤投与後約7~14日ごろに最も減少します。

4.感染しやすい部位と主な症状

部位症状
口腔口腔内の発赤・腫れ・痛み、歯の痛み
上気道鼻水、のどの腫れ、痛み
肺・気管支咳、痰(たん)、息苦しさ
消化器腹痛、下痢、吐き気
肛門肛門周囲の発赤・腫れ・痛み
尿路尿のにごり、尿意の増加、排尿時痛、残尿感
皮膚唇や皮膚の痛み、水疱
その他38度以上の発熱、寒気、震え、頭痛、関節痛など

5.感染とは

感染症が起こると、38度を超える発熱(悪寒・震えを伴うこともある)、感染した部位の腫れや痛みなどの症状が現われます。これらは、病原体が増殖して重篤な合併症を引き起こす前の兆候として非常に大切です。症状に気づいたら、早めに医師の診察を受ける必要があります。とくに、外来通院で化学療法を受けている方は、自分で感染の兆候を観察し、受診するタイミングが重要になるので、症状や対処方法を覚えておく必要があります。

好中球500/mm3以下の期間が2週間以上続くことが予測される場合は、さらに注意が必要です。

6.白血球減少時の対策

感染経路を遮断(しゃだん)するためにも、手洗い・うがい・清潔な行動を心がけてください。また、感染症状について知り、早めに対処することで重篤な感染症を防止することができます。
  • 食事、薬の内服、排泄の前後、外出後、掃除のあと、植物やペットに触れたあとは、手指洗浄剤で丁寧に手洗いをしましょう。
  • 食事や薬の内服の前後、外出後には、イソジンうがい薬やハチアズレ含嗽液でうがいをしましょう。口内炎ができたり、口腔内がしみる場合は、生理食塩水でうがいをしましょう。
  • 歯垢は口腔内感染を悪化させてしまうため、化学療法の前に歯科を受診し、歯の治療や正確な歯磨き方法を身につけましょう。
    また、口内炎ができてしまったら、痛みに応じて綿棒や口腔用スポンジブラシに変更しましょう。
  • 皮膚に付着している常在菌を減らすためにも、入浴やシャワーを毎日行い、清潔な衣服に着替えましょう。
  • 食事はなるべく、調理してすぐに摂取しましょう。また、好中球減少がはじまったら、基本的に加熱処理された食事を摂取し、食中毒に注意しましょう。
  • できるだけ毎日掃除機をかけて拭き掃除を行い、定期的にカーテンやエアコンの清掃も行いましょう。また、好中球減少時にはペットを飼うことや生花を置くことは避けましょう。
  • 外出時にはマスクを着用し、人ごみの多い時間の外出や買い物はなるべく避けましょう。
  • 感染症が発症してしまったら、医師の指示どおりに抗生物質や真菌剤、抗ウイルス剤を内服しましょう。
  • 感染の兆候を知るために、毎日体温測定をしましょう。

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載

2011/11/21

血液検査結果11/21 -入院35日目-

毎週、月曜、水曜、金曜は血液検査を行い、白血球、ヘモグロビン、血小板の数値を知らされます。

血液の成分 数値 前回比
白血球数 1500 -8600
ヘモグロビン 9.0 -0.1
血小板 33.3 -11.3

2011/11/18

血液検査結果11/18 -入院32日目-

血液の成分 数値 前回比
白血球数 10100 -
ヘモグロビン 9.1 -
血小板 44.6 -

2011/11/16

IVAC療法とは

がん細胞は、正常細胞に比べて分裂増殖が盛んです。抗がん剤は、分裂増殖が盛んな細胞に作用します。正常細胞でも分裂増殖が盛んな細胞は、抗がん剤の影響を受けやすく副作用として現れてきます。
以下に、イホマイド(成分名: イホスファミド)、ベプシド(成分名: エトポシド)とキロサイド(成分名: シタラビン)による治療の副作用をご説明しますが、これらの副作用がすべての方に必ず起こるわけではありません。



起こりやすい副作用について


ベプシドによる副作用

●食欲不振・悪心・嘔吐
程度の差はありますが、ほとんどの方に認められる症状です。1週間ほど続きます。症状と時期に合わせて、あらかじめ吐き気止めのお薬を使い、対応します。

●脱毛
個人差はありますが、投与後2~3週間後あたりから毛が抜け始めます。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。


●白血球減少・赤血球減少・血小板減少
白血球が少なくなると、病原菌に対する体の抵抗力が弱くなり、感染症を起こしやすくなります。赤血球が少なくなると、めまい、ふらつき、疲れやすさなどが起こることがあります。血小板が少なくなると、原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

キロサイドによる副作用

●シタラビン症候群
38℃以上の高熱が出る、だるくなる、筋肉・骨が痛む、皮疹、喉の痛みなどがみられることがあります。シタラビン中止により、ほとんどの症状は軽快します。

●結膜炎・角膜炎
目の充血、目のかゆみ、異物感、目やになどの症状が現れることがあります。結膜炎の予防に0.02%フルメトロン点眼液を使用してください。めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。


●下痢
1日3回以上の排便回数の増加や水様便が出ることがあります。症状が続く場合は、脱水症状を防ぐため水分補給を行ってください。症状に合わせて下痢止めを使うことがあります。


●中枢神経障害
不安定な歩行、昏睡、言語不明瞭、筋力低下などの症状が現れることがあります。投与後3~12日目に現れることが多く、3~7日間継続しますが、その後は元の状態に回復します。


イホマイドによる副作用


●出血性膀胱炎
尿が近い(回数が増える)、尿に赤みが出る、尿が残った感じ、排尿痛といった症状が起きる可能性があります。十分に水分を摂取するよう心がけましょう。また、膀胱炎を予防するお薬としてウロミテキサン注を使用します。


注意が必要な副作用について


まれな副作用ですが、このような症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。

  • 呼吸困難、じんましん、眼や唇の周りが腫れる、冷や汗、ドキドキするなど(アナフィラキシー様症状)
  • 極端に尿の量が減る、顔や手足のむくみ(急性腎不全)
  • 突然、胸が締めつけられる感じがする、胸の痛みが長く続く(心障害)
  • 息をするとひゅーひゅー音がする、痰のからまない咳が出る(間質性肺炎)
  • 高音域の声や音が聞こえにくい、耳鳴りがする(聴力低下・難聴)
  • 激しい腹痛、腹部膨満(消化器症状)



上記の副作用に関する情報は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

血液の成分と正常値と働き


血液の成分 正常値 働き
白血球 成人男女3300-9000/μl(マイクロリットル) 病原体やガン細胞を直接、あるいは抗体を作って間接的に攻撃し、病気から体を守る働きをしています。
ヘモグロビン 成人男性14-17g/dl
成人女性12-16g/dl
酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んできて放出し、再び酸素と結びついて各組織に運ぶという重要な働きを担っています。
血小板 成人男女13.0万-34.9万/μl(マイクロリットル) 欠陥の損傷に反応し、出血を止める働きをしています。怪我をしたあとで自然に血が止まるのは、この血小板が正しく機能している証拠です。血管が破れると、血液中の血小板がその穴の部分に次々と集まってきて穴をふさぎ、やがて固まっていくのです。

2011/11/10

抗がん剤の副作用で髪が抜けていく

抗がん剤による体への負担などを患者家族が感じることはできないが、髪に現れる副作用ははっきりと目で見ることができる。「笑いながら闘う」ことを決めた私たち夫婦なので、髪が抜け始めても笑って受け止めた。

悪性リンパ腫の夫が抗がん剤治療を開始し、髪が抜けていく様子を記録に残しておくことにした。


脱毛前

脱毛1日目(11月9日)


脱毛2日目(11月10日)

脱毛3日目(11月11日)

脱毛4日目(11月12日)

脱毛8日目(11月16日)

脱毛9日目(11月17日)

脱毛15日目(11月23日)

脱毛18日目(11月26日)

脱毛19日目(11月27日)



11月下旬、髪が薄くなると余計に寒さを感じるらしく、この頃からニット帽をかぶって過ごすようになった。そのため、脱毛の様子を写真に残せなくなってしまった。

毎日カメラを向ける私に、夫は嫌がらずハゲ頭を写真に撮らせてくれました。こんなこと一生に一度あるかないかの出来事だから、記念!あはははっ!いやなことも笑い飛ばすのがいいね。

2011/11/07

退院するまでは泣かないと決めました -入院21日目-

「こんにちは~」と病室へ入ると、顔をしかめながら夫はベッドに横たわっていました。

「う゛ー」
「あ゛ー気持ち悪い」

「ポカリも気持ち悪くて飲めないから、お茶買ってきて!」
と、投げ捨てるように言い放ちました。

売店にて、

おーいお茶×3本
グレープフルーツジュース×1本
トマトジュース×2本

を買い、病室に戻ると、点滴が終わっていて、さっきより、少しばかり機嫌も良さそうです。

すると、マナ(1歳4ヶ月の娘)はどうしてる?と普段のように話し始めたので、マナの夕べの様子をビデオで見せると、「あー、帰りたくなるな」と一言。

その後、「やっぱり、家がいいな~、なっ?」と夫が切なさ混じりにつぶやきました。

私は「そうだね~」と軽く返事をしただけでした。


面会時間が終わり、病院から出ると、外気がヒヤッと頬をかすめました。
と同時に、突然、「やっぱり、家がいいな~」の一言が浮かび、
なんてことはない会話だったはずなのに、目頭が熱くなるのを感じました。

深呼吸、深呼吸。と言い聞かせ、家路につきました。

2011/11/02

"メソトレキサート大量療法"について

メソトレキサートとは

メソトレキサートとは、アメリカで開発され、病気ごとに投与量が異なり、様々な薬剤と併用されることによって、白血病、絨網性疾患、乳がん、胃がん、悪性リンパ腫、尿路上皮がん等多くのがんに治療効果が認められている薬です。飲み薬でリウマチの治療に用いられることもあります。尿が酸性になると尿細管内で結晶化し、腎不全を発現することがあるので、尿をアルカリ化する薬を投与することがあります。

起こりやすい副作用について

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
直後から現れることがあります。2~3日ほど続きますが、その後に回復に向かいます。

●腎障害
治療開始前及び治療中に補液を投与し、同時に十分な水分を補給することで、腎障害を予防する場合があります。また、利尿剤も投与することがあります。

その他の副作用について


●口内炎

●発疹、紅斑

●下痢

●脱毛

注意が必要な副作用について

まれな副作用ですが、この様な症状が現れた際には医師・薬剤師・看護師へご相談ください。

  • 呼吸困難、じんましん、眼および口の周囲の腫れ、冷汗、頻脈(アナフィラキシー様症状: 頻度不明)
  • 全身倦怠感、食欲不振、疲れやすい、腹部不快感(肝障害: 記載なし)
  • 顔・手足などのむくみ、尿量の減少、尿が赤みを帯びる、体重減少、口の渇き(腎障害: 記載無し)
  • 胸痛、意識障害、呼吸困難、(空)咳、発汗、発熱、ピンク色の痰がでる、尿量の減少、むくみ、頭痛、全身倦怠感(肺障害: 記載無し)
  • 中央に浮腫を伴った発疹、まぶた・眼球結膜に充血、口腔内の痛みを伴った粘膜炎(皮膚障害: 記載無し)
  • 腰や背中の痛み、腰のだるさ、背骨、手首の付け根、股関節付近の骨折(骨粗鬆症: 記載無し)
  • 突然起こる激しい腹痛、背部痛、もたれ、胸やけ、吐き気、嘔吐、食欲不振(消化器症状: 記載無し)
  • 足腰がおぼつかない、思うように話すことができない、手が震える、めまい、けいれん(中枢神経障害: 記載無し)

2011/11/01

リツキサン注での治療について

リツキサンとは

リツキサン(成分名: リツキシマブ)とは、がん化したリンパ球と正常リンパ球の表面だけにある、CD20というタンパク質にくっつくように作られたお薬です。がんを小さくしたり、広がるのを抑えたり、がんによる症状を軽くしたりします。CD20という目印があるものだけにくっつくので、従来の抗がん剤と比べると、正常な細胞への影響は少ないと考えられていますが、点滴時のアレルギー症状や白血球減少(詳しくは「白血球が減少するとどうなるの?」をお読みください。)などの副作用が起こることがあります。


注意が必要な副作用について

まれな副作用ですが、この様な症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。
呼吸困難、じんましん、全身のかゆみを伴った発赤、眼や唇のまわりが腫れる、ふらふらする、冷汗、ドキドキするなど(アナフィラキシー様症状)


点滴時に注意すること

《症状》発熱、悪心、頭痛、かゆみ、ほてり、発疹、血管浮腫などのアレルギー様症状

*この様な症状が出た場合は、症状や経過を見て一旦中止したり、投与速度を遅くしたり、量を減らして投与を再開します。

リツキサン注を投与する30分前に、ポララミン2mg x 1錠、カロナール200mg x 2錠をお飲みいただいています。


その他の副作用について

●白血球減少
抵抗力が弱くなり、風邪のような症状が出やすくなります。うがい・手洗いを心がけましょう!
詳しくは「白血球が減少するとどうなるの?」をお読みください。



上記の内容は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

2011/10/31

千羽鶴を頂きました

夫の上司や同僚の皆様!

頂いた千羽鶴を拝見しました。

皆様の励ましが、私たちの闘病の支えになっています。

ありがとうございます


2011/10/29

外泊が許され、お散歩に出かけました -入院12日目-

悪性リンパ腫と闘うため、入院・化学療法を受けている夫が、ひさしぶりに帰ってきました。

我が家には1歳3ヶ月になる娘がいます。娘はお散歩に連れて行ってくれるパパが大好きです。
今日は10月もそろそろ終わるのに温かく、お散歩日和。

「病院に戻ったら、またしばらくはお散歩に連れて行ってあがられなくなるもんなぁ」と、少し寂しそうに言う夫。



娘はパパの事情を理解しているのか、パパから離れようとしません。



2011/10/24

CODOX-M療法とは

CODOX-M療法とは

オンコビン(成分名: ビンクリスチン)とアドリアシン(成分名: ドキソルビシン)とエンドキサン(成分名: シクロフォスファミド)とメソトレキセート(成分名: メトトレキサート)という4つの抗がん剤を組み合わせた治療のことを言います。これらのお薬はそれぞれ、がん細胞への作用の仕方や副作用の違いがあるので、これらを組み合わせて使うことで、より効果的にがんを治療することができます。これにより、がんを小さくしたり、広がるのを抑えたり、がんによる症状を軽くしたりします。しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えてしまいます。このために吐き気や脱毛などの副作用が起こることがあります。

起こりやすい副作用について


アドリアシンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●血管痛・静脈炎
お薬が血管を刺激するため、投与中に血管の痛みや腫れが起こることがあります。また、数日後にも発赤、腫脹、熱感などを感じる場合があります。異常を感じたらすぐにお知らせください。適切な処置をします。その際、症状に合わせてステロイドを使用することがあります。


エンドキサンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●出血性膀胱炎
投与後2~3日で出ると言われています。尿が近い(回数が増える)、尿に赤みが出る、尿が残った感じ、排尿痛といった症状が起きる可能性があります。十分に水分を摂取するよう心がけましょう。また、症状に合わせて膀胱炎を軽減するお薬を使用することがあります。


オンコビンによる副作用

●白血球減少
抵抗力が弱くなります。かぜのような症状がでやすくなるので、うがい・手洗いを心がけましょう!

●赤血球減少
めまい、ふらつき、疲れやすい、口の中やまぶたの内側の蒼白などが起こることがあります。

●血小板減少
原因不明のあざ、鼻血、頭痛、歯肉の出血などが起こることがあります。

●脱毛
投与後2~3週間から起こることがあります。抗がん剤治療が終了すれば、元の状態に戻ります。

●食欲不振・悪心・嘔吐
投与前・直後から現れることがあります。症状と時期に合わせて、吐き気止めのお薬を使い、対応します。2~3日ほど続きますが、ほとんどの場合その後に回復に向かいます。

●口内炎

●末梢神経障害
手足のしびれ感、麻痺、関節痛が起こることがあります。

●便秘


注意が必要な副作用について


まれな副作用ですが、このような症状が発現した際には医師・薬剤師・看護師へ至急ご連絡ください。

  • 熱が出る、息をするとひゅーひゅー音がする、痰のからまない咳が出る、頭痛、体がだるい(間質性肺炎)
  • 息切れ、「鈍い」「締めつけられるような」「圧迫されるような」「焼けるような」胸の痛み(心障害)
  • 激しい腹痛、お腹のはり、嘔吐、排便・排ガスがない(消化器症状)
  • 白目や皮膚が黄色くなる(肝障害)
  • 突然、片側の手足や顔が麻痺する、しびれ、頭痛、話しにくい、視界が狭くなる、字が書きにくい(脳梗塞)
  • 耳が聞こえづらくなる(難聴)




上記の副作用に関する情報は、夫が抗がん剤を投与するにあたり、薬剤師の方から頂いたものを少しだけ読みやすく改変したものです。

2011/10/17

長期入院に変更になりました -入院1日目-


悪性リンパ腫の治療のため、今日から10日ほど、夫が入院することになりました。

9:00 朝食 - わかめと豆腐の味噌汁
9:50 夫の運転で国立がん研究センターへ出発
10:40 国立がん研究センターに到着


娘(1歳3ヶ月)が病棟に入れないため、ロータリーで見送ることに。。。私が笑顔で「いってらしゃい!」と言うと、夫は「おう!」と元気に返事をしました。正面玄関の自動ドアを通過する後ろ姿に、「がんばってきて!待ってるよ!」と心の中で叫びました。

娘をチャイルドシートに座らせると、「パパ~」と手を出し、泣き出してしまいまし。「パパはいってらしゃいだよ」と言うと、涙がこぼれそうになりました。
16:00 夫から電話が入り、「長期入院になった」と告げられました。

外来通院の予定だったのに。本人も心の準備ができていなかったためか、戸惑ったようで、苛立ちを私にぶつけてきた。

伝えられたのは、それだけではなく、やはり、精子の冷凍保存が必要だということ。治療のための入院なのに、入院当日に伝えるのは遅いでしょう。泌尿器科の先生は、「抗がん剤治療に決まったら、化学療法科の先生からも説明があると思います」と言っていたのに。来週月曜から抗がん剤投与が始まるので、今週中にお願いします」しかも、「そういうことは自分で調べてください」って!それなら、もう少し早く伝達するべきでしょう。(私たち夫婦にとっては重要なことなので、怒りすら覚えました)
18:40 面会のため、病院へ。クリーンルーム内の病室、、、クリーンルームに入るには、砂時計1回分ていねいに手を洗わなければいけないそうです。看護師さんが手の洗い方も教えてくれました。手を洗っている間に夫が出てきましたが、面会時間が残り5分。ロビーでバーバと一緒に待っていた娘を抱き、夫は病室に戻って行きました。

家に帰り、精子の冷凍保存について検索。「化学療法 精子 保存」、「抗がん剤 精子 保存」で検索すると、「リプロダクションセンター」というワードに目が止まりました(へぇ~、そういうワードがあるのね)。自宅近辺がいいだろうということなので、つくば市近辺で探すと、筑波大学付属病院の男性機能科で行っているようでした。明日電話することにし、検索終了。なんとしても今週中に保存する必要があるようですしね。


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精子の冷凍保存を行ってくれる病院やクリニックを探すコツ

2011/09/30

再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療



再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療

一般的に治療抵抗性とは、一度も寛解を得られない状態を指します。再発とは、いったん縮小したリンパ節が再び大きくなってきた状態をいいます。いったん良くなった悪性リンパ腫が再発したときの心痛は、非常に大きいものです。しかしながら再発の場合、一度は寛解を得られたわけですから、最初から化学療法が効かない治療抵抗性とは、その後の治療効果が少し異なります。

再発した悪性リンパ腫に期待できる治療効果は、やはり病理組織学的分類、すなわち病気のタイプによって大きく異なります。したがって、医師とともに目標をどこに設定するかを考える必要があります。

1)ホジキンリンパ腫の再発

初回治療の内容や、治療を終了してから再発までの期間などによって、治療選択と予後が異なってきます。初回治療が放射線療法であった場合には、再発後の化学療法の治療効果が期待できます。初回寛解持続期間が1年以上あった場合には、化学療法を再開することにより、長期生存が一定の割合で期待できます。また、自家末梢血幹細胞移植を用いた大量化学療法が有効であることも知られています。

2)非ホジキンリンパ腫の再発


(1)低悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、病勢をコントロールすることが主な目標になります。根治をねらって自家末梢血幹細胞移植療法や同種造血幹細胞移植療法が行われることがありますが、適応や有効性についてまだ一定の見解が得られていません。

(2)中悪性度群リンパ腫

化学療法や抗体療法によって、再度寛解を得ることが目標となります。救済療法としての化学療法はいろいろなものが開発されていますが、どれが最も優れているかについてはまだよくわかっていません。再発後の治療により腫瘍が縮小した場合は、自家末梢血幹細胞移植療法が有益であるとする報告があります。

(3)高悪性度群リンパ腫

根治を目指して、同種造血幹細胞移植療法を行うことがあります。



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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の標準治療



悪性リンパ腫の標準治療


1)治療の選択肢

悪性リンパ腫の治療法には次のようなものがあります。
  • 放射線療法
  • 化学療法(抗がん剤)
  • 生物学的製剤:抗CD20抗体
  • 経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
  • 造血幹細胞移植:自家移植、同種移植

(1)放射線療法
放射線療法は、高エネルギーのX線を病気のある部位に照射して、腫瘍に対する殺細胞効果を期待する治療です。照射した部位に対してのみ効果が期待できます。
(2)化学療法
抗がん剤を経口(内服薬)、あるいは静脈内投与することによって、腫瘍の殺細胞効果・増殖抑制効果を期待する治療です。腫瘍があることがわかっている場所に効果があるばかりでなく、診察や画像診断ではわからない微小な病変部位に対しても効果が期待できます。
(3)生物学的製剤
最近よく使われる薬がリツキサンです。CD20という、成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果があります。抗体に放射性同位元素を結合したものも開発され、海外では再発・難治性の低悪性度群リンパ腫に効果が認められています。日本でも承認申請が出されています。
(4)経過観察(Watchful Waiting、注意深い観察)
ゆっくり進行型のリンパ腫の場合、全く無症状で何年も経過することがあります。化学療法を行うメリットがないと判断される場合には定期的に診察を続け、何か症状が出たときにはじめて治療を行うという選択です。物足りなく感じる患者さんもいるかもしれませんが、医師に対するヒポクラテスの格言、“First, do not harm!(まず第一に害を与えないこと)”の実践ともいえます。
(5)造血幹細胞移植
標準的な抗がん剤治療や放射線治療を行っても再発する可能性が高いと判断された場合は、大量の抗がん剤投与や放射線照射を行います。その際、治療が強力であるために血液をつくる能力も破壊されてしまうので、血液を正常な状態に回復させるために、患者さん自身や患者さん以外の提供者(ドナー)からの造血幹細胞(血液のもととなる細胞)を移植します。

治癒を目指した治療を行う場合、まず完全寛解という状態を目指します。完全寛解とは、治療前に腫(は)れていたリンパ節や、CTなどで指摘されていた病変が小さくなって消失するか、あるいは正常の大きさになり、発病前と同じ状態になることを指します。完全寛解が得られた後に予定どおりの治療を行って、治療終了後、経過をみていても再発しない場合を治癒といいます。およそ5年間の観察期間が必要であると考えられています。

以下に大まかな治療指針について概説しますが、冒頭でも述べたように、病気のタイプと進行度、予後不良因子の有無、そして初発か再発かなどによって最も適切な治療が選択されます。十分に担当医師と話し合う必要があります。それぞれの病気に対する治療については他項で詳しく記していますが、ここではその概略を示します。

2)ホジキンリンパ腫の治療方針

ホジキンリンパ腫には大きく分けて下記の2つのタイプがあり、(1)のほうがゆっくり進行型で、臨床病期が早い段階で病気が発見されることが知られています。したがって、同じ臨床病期が早い患者さんでも、(1)か(2)によって放射線療法と化学療法のどちらが主体になるか若干異なります。

(1)結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫(Nodular Lymphocyte Predominant Hodgkin Lymphoma)


(2)古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin Lymphoma)

(1)限局期(臨床病期IあるいはII)の場合 病理組織学的分類が(1)で、全身症状(B症状:発熱、体重減少、夜間寝汗)がなければ放射線療法が基本となります。B症状を伴うか、あるいは病理組織学的分類が(2)の場合には、化学療法と放射線療法を組み合わせる方針を採ることが原則となります。
(2)進行期(臨床病期IIIあるいはIV)の場合 病組織学的分類にかかわらず、化学療法が主となります。発症時に非常に大きな腫瘤(しゅりゅう)があった場合や、化学療法後に腫瘤が残存した場合には、放射線療法が追加されることがあります。ホジキンリンパ腫に対する代表的な化学療法は、ABVD療法です。

3)非ホジキンリンパ腫の治療方針


(1)低悪性度群リンパ腫

濾胞性リンパ腫やMALT(マルト)リンパ腫の臨床病期IあるいはIIの限局期の場合には、原則として放射線療法が行われます。病期IIといっても発症場所が複数あり、かなり距離が離れている場合には進行期と同じ対応となることがあります。臨床病期IIIおよびIVの場合には、経過観察、化学療法、抗CD20モノクローナル抗体(リツキサンなど)、圧迫症状を呈する部位への放射線療法等の選択肢があります。また最近は、濾胞性リンパ腫の予後因子であるFLIPIを用いて治療方針を決めることも多くなってきています。

研究的治療として造血幹細胞移植が行われることがあります。研究的治療というとマイナスのイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、何が有望な治療法であるかを確かめるためには非常に重要な方法です。

これまで長年、多くの患者さんたちに行われて治療成績のエビデンス(証拠)が出ているものを、標準治療ということができます。これに対して研究的治療の多くは、標準治療で良くならない患者さんに対する、より有効な治療として計画されたものです。新規の治療であるため、現時点ではエビデンスがないということから「研究的治療」といわれます。

(2)中悪性度群リンパ腫

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫が代表的な疾患です。臨床病期IおよびIIのときには化学療法単独か、化学療法と放射線療法の併用が行われます。臨床病期IIIおよびIVでは化学療法が主体となります。代表的な化学療法はCHOP(チョップ)療法です。最近では、CHOP療法などの化学療法にリツキサンが併用されることが多くなっています。国際予後因子(IPI)で高中危険群以上の予後不良であることが推測されるときには、初回寛解中に自家末梢血幹細胞移植を行うことで予後が改善されることを示唆する報告がありますが、まだ結論は出ていません。

(3)高悪性度群リンパ腫

リンパ芽球型リンパ腫は、急性リンパ性白血病とほぼ同じ化学療法が行われます。中枢神経浸潤を来す可能性が高いので、化学療法剤の髄腔(ずいくう)内投与が予防的に行われます。バーキットリンパ腫には有効な化学療法が開発されています。予後不良であることが予測されるときには、造血幹細胞移植を選択することもあります。


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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日: 2011年02月21日
掲載日: 2006年10月19日

悪性リンパ腫の治療法の選択


更新日:2011年02月21日    掲載日:2006年10月19日

治療法の選択

悪性リンパ腫の治療法を選択するうえで、病理組織、進行のスピードによる分類のほかに、臨床病期、年齢、全身状態、リンパ節以外の病変、血清LDHの値等の血液検査の値が重要とされています。

1)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫における治療選択

非ホジキンリンパ腫の中で最も多いタイプとされるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫では、国際予後因子(International Prognostic Index:IPI)を用いることで、標準治療による治りやすさを予測することができます。

国際予後因子に含まれるもの

  • 年齢
  • 病期
  • 日常の活動性 (Performance Status:PS)
  • リンパ節以外の病変の数
  • LDH

(1)年齢

患者さんの年齢が60歳以下であるか、それより上であるかによって予後が変わってきます。60歳を超えた場合に、リスクファクター(危険因子)1点を加えます。

(2)臨床病期

病気の進行状態が進んでいるほど予後に悪い影響を与えるのは、他のがんと同じです。臨床病期がIII以上でリスクファクター1点を加えます。
図2 臨床病期

(3)日常の活動性(Performance Status:PS)

リンパ腫と診断されたとき、日常活動を行う能力をどれくらい持っているかを表す指標です。PS2以上でリスクファクター1点を加えます。
0:発病前と同じ状態
1:軽度の症状がある。肉体労働に制限がある。
2:日中の50%以上は起きている。軽労働に制限がある。
3:日中の50%以上は床に就いている。身の回りのことをするのに制限がある。
4:終日、床に就いている。身の回りのこともできない。常に介助が必要。


(4)リンパ節以外の病変

病気がリンパ節およびその関連臓器に限られているか、あるいはそれを越えて広がっているかによって、予後が異なります。リンパ節以外にある病気のかたまりを「節外病変」といいます。例えば、もともとリンパ節が少ない骨髄、消化管、皮膚、甲状腺、肝臓、中枢神経、肺、泌尿(ひにょう)生殖器、骨等にリンパ腫が発生した場合は節外病変といいますが、脾臓や扁桃を含む咽頭(いんとう:のど)の組織 (ワルダイエル環(かん)といいます)はリンパ節と同等と見なされますので、節外病変とはいいません。節外病変が2ヵ所以上ある場合には、リスクファクター1点を加えます。

(5)LDH(乳酸脱水素酵素):正常か異常高値か?

血清LDHの値は、病気の勢いや腫瘍の大きさと相関すると考えられています。LDHが上昇しているときには、リスクファクター1点を加えます。

以上の項目をまとめますと、表2のようになります。表2にあてはまる項目の数で、表2-1によって判定します。
表2 国際予後因子(全年齢)(International Prognostic Index:IPI)表2-1
・年齢≧61歳
・節外病変≧2ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・日常活動性(PS) ≧2
The International Non-Hodgkin's Lymphoma Prognostic
Factors Project. N Engl J Med 329:987-994, 1993
低危険群:0~1
低中危険群:2
高中危険群:3
高危険群:4~5

標準治療を行った場合の生存曲線は図3のようになり、高危険群の方では、治療をしても5年生存率が25%弱です。現在は坑CD20モノクローナル抗体などの新しい薬剤の併用により、全体的に生存率は向上していると考えられます。それでも、標準治療だけでは治癒を期待することが難しいとなると、新しい分子標的薬剤の導入や自家造血幹細胞移植を治療に組み込むことで、生存率の向上を目指すことができます。
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性
(aggressive)非ホジキンリンパ腫の予後
図3 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性

出典:N Engl J Med 329: 987-994, 1993(著者ら改変)

また濾胞性リンパ腫に対しては、同じように下記の5項目を点数化した濾胞性リンパ腫国際予後因子(Follicular Lymphoma International Prognostic Index:FLIPI)を用いるようになってきました。IPIとの違いは、PSの代わりにヘモグロビン値を用いる点と、節外病変の代わりにリンパ節の病変の数を用いる点です。
表3 濾胞性リンパ腫国際予後因子 (FLIPI)表3-1
・年齢≧61歳
・リンパ節病変≧5ヵ所
・LDHが高い
・病期≧III期
・ヘモグロビン<12g/dl
Solal-Celigny P, et al. Blood 104: 1258-1265, 2004
低危険群:0~1
中危険群:2
高危険群:3~



関連情報
悪性リンパ腫の一般的な知識    悪性リンパ腫の標準治療    再発・治療抵抗性悪性リンパ腫の治療



独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターに掲載されている情報を転載しています。

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫についての一般的な知識

1)悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、リンパ系の組織から発生する腫瘍(いわゆる“がん”)です。リンパ系組織とは、ヒトの免疫システムを構成するもので、リンパ節、胸腺(きょうせん)、脾臓(ひぞう)、扁桃腺(へんとうせん)等の組織・臓器と、リンパ節をつなぐリンパ管、そしてその中を流れるリンパ液からなります。リンパ系組織を構成する主な細胞は、リンパ球と呼ばれる白血球です。リンパ液の中には液体成分とリンパ球が流れていて、やがて血液と合流します。リンパ系組織は全身に分布しているため、悪性リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫は全身で発生する可能性があります。

2)悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫という病名は、さまざまなリンパ系組織のがんを大きくまとめて呼ぶ名前で、その中に含まれる個々の疾患の臨床経過や治療反応性、あるいは予後は大きく異なります。ですから、自分にとって最適な治療を選択するためには、「悪性リンパ腫の中のどのような病型(タイプ)ですか?」と、まずは医師に質問することが重要です。

(1)病理組織学的分類

悪性リンパ腫には、大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つがあります。ホジキンリンパ腫は日本では少なく、約10%です。非ホジキンリンパ腫はリンパ腫の顔つき、すなわち顕微鏡でわかる形態学的特徴(病理学的分類といいます)、細胞系質的特徴(“B細胞性、T細胞性、NK細胞性”)、そして染色体・遺伝子情報などをもとに分類されます。それが腫瘍細胞の悪性度とその後の臨床経過、予後を推定し、治療法を選択するために大変重要になります。
図1 悪性リンパ腫の種類:
がん細胞の起源により非ホジキンリンパ腫は複数に分類されます。

(2)進行のスピードによる分類

非ホジキンリンパ腫は、発症してからの病気の進行速度によって分けることができます。進行のスピードによる分類は、「診断された病気を、治療しないで放置した場合に推測される予後」と言い換えることもできます。一方、上記の「病理学的分類」は、それぞれのがんの顔の特徴をつかまえているといえるでしょう。それぞれの患者さんに適した治療法を決めるうえで、両者を組み合わせることが重要であると考えられています。進行のスピードが速いタイプを高悪性度、ゆっくりなものを低悪性度と分類しますが、強力な化学療法や造血幹細胞移植などの進歩した現在においては、高悪性度とされるリンパ芽球性リンパ腫やバーキットリンパ腫も根治が期待できます。
表1 臨床経過からみた非ホジキンリンパ腫の分類
進行スピードによる分類該当する非ホジキンリンパ腫の種類
低悪性度(年単位で進行)濾胞(ろほう)性リンパ腫
MALTリンパ腫など
中悪性度(月単位で進行)びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫など
高悪性度(週単位で進行)リンパ芽球性リンパ腫
バーキットリンパ腫など

3)悪性リンパ腫の症状

首、腋(わき)の下、足のつけ根などのリンパ節の多い部位に、痛みを伴わないしこりが触れるなどの症状がよくみられます。全身的な症状として、発熱、体重の減少、盗汗(顕著な寝汗)を伴うことがあり、これらの3つの症状を「B症状」といい、特に重要視されています。体のかゆみを伴うこともあります。その他、皮膚の発疹(ほっしん)、しこり、いろいろな場所の痛みで気づくこともあります。

4)悪性リンパ腫の診断

悪性リンパ腫の診断に用いられる検査には、以下のようなものがあります。

(1)リンパ節生検

大きくなっているリンパ節のすべて、あるいは一部を、いろいろな検査に用いるために局所麻酔を行って採取します。採取された組織は、病理医が顕微鏡で腫瘍の顔つきを調べて、病理学的分類を行うのに用いられます。また組織の一部は、診断に重要な染色体検査や遺伝子検査にも使われることがあります。遺伝子検査といっても、親から子へ遺伝する病気の有無について調べるものではなく、がん細胞が持っている特有の遺伝子の異常を調べるものです。診断ばかりでなく、治療の手がかりとしても非常に重要です。これらの検査によって、リンパ腫の病型(タイプ)が決定されます。

(2)病気の広がりをみる検査

悪性リンパ腫に対する最適な治療を選択するために、病気が体のどこに、どれくらい広がっているかを知ることが大変重要です。病気の状態が進んでいるかどうかは、予後に大きく影響します。このため、以下のような検査が重要になります。
  • 胸部X線検査
  • コンピュータ断層撮影(CT)
  • 核磁気共鳴検査(MRI)
  • ガリウム(Ga)シンチグラフィー
  • ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)
  • 骨髄検査:穿刺(せんし)吸引検査、生検
  • 腰椎穿刺(ようついせんし):脊柱管(せきちゅうかん)の中にある液体(脳脊髄液)を採取する検査(中枢神経浸潤(しんじゅん)が疑われるとき、あるいは中枢神経への広がりが起きやすいタイプの病気のときに行われることがあります。)
  • 消化管検査:胃内視鏡、大腸内視鏡等

(3)全身状態と、原因となるウイルスをみる検査

悪性リンパ腫の中には、ウイルス感染を契機に発生するものがあります。このため、さまざまなウイルスの感染状況を調べることも重要になります。
  • 末梢血、肝機能、腎機能、血糖
  • ウイルス抗体価:B型肝炎、C型肝炎、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV-I)、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)

(4)病気の広がりや勢い、治療効果を反映する検査

以下の血液検査をチェックすることが重要です。
  • 乳酸脱水素酵素(LDH)
  • C反応性蛋白(CRP)
  • 可溶性インターロイキン‐2(IL-2)受容体


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独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターより転載
更新日:2011年02月21日    掲載日:2006年10月19日

2011/09/24

冷凍保存した精子は夫の生存中に限り、使用できる

がんは現代医学では不治の病ではないと言われても、その人の年齢や体力、精神力、がんのステージや進行度などにより、どうなるかはわかりません。また、外科的手術などにより体内からがん細胞がなくなったとしても、元の生活にもどれる保証もありません。

大切な人ががんと診断されたとき、"不治の病ではないから大丈夫"と安心できる人がいるでしょうか?

パートナーや夫婦ががん患者の場合、回復を望むばかりで他のことを考える余裕がないかもしれません。しかし、将来的に子供を望んでいるとしたら、知っておかなければならないことがあります。

それは、生殖機能についてです。

抗がん剤による性機能障害のため、精子を冷凍しておこうと考える方はたくさんいると思います。近い将来、パートナーが完全完解し、子供も持てると期待して。そこで、精子の凍結に関する重要なガイドラインをご紹介します。


精子の凍結保存に関する見解

ヒト精子の凍結保存(以下本法)は人工授精ならびに体外受精などの不妊治療に広く臨床応用されている。

一方、悪性腫瘍に対しては、外科的療法、化学療法、放射線療法などの治療法が進歩し、その成績が向上してきたものの、これらの医学的介入により造精機能の低下が起こりうることも明らかになりつつある。そのため、かかる治療を受ける者が将来の挙児の可能性を確保する方法として、受療者本人の意思に基づき、治療開始前に精子を凍結し保存することは、これを実施可能とする。

なお、本法の実施にあたっては以下の点に留意して行う。


  1. 精子の凍結保存を希望する者が成人の場合には、本人の同意に基づいて実施する。精子の凍結保存を希望する者が未成年者の場合には、本人および親権者の同意を得て、精子の凍結保存を実施することができ、成人に達した時点で、本人の凍結保存継続の意思を確認する。
  2. 凍結保存精子を使用する場合には、その時点で本人の生存および意思を確認する。
  3. 凍結精子は、本人から廃棄の意思が表明されるか、あるいは本人が死亡した場合、廃棄される。
  4. 凍結保存精子の売買は認めない。
  5. 本法の実施にあたっては、精子凍結保存の方法ならびに成績、凍結保存精子の保存期間と廃棄、凍結した精子を用いた生殖補助医療に関して予想される成績と副作用などについて、文書を用いて説明し、了解を得た上で同意を取得し、同意文書を保管する。
  6. 医学的介入により造精機能低下の可能性がある場合は、罹患疾患の治療と造精機能の低下との関連、罹患疾患の治癒率についても文書を用いて説明する。


平成19年4月
社団法人 日本産科婦人科学会



日本のほとんどの産婦人科医が(社)日産婦の会員となっているため、考えたくはないけれど、もしものことがあった場合、"それでも最愛の人の子供を産みたい"という願いを叶えることはできないようです。